斜め上の企画はどこから生まれる!? テレ東に密着取材してきた

良いコンテンツを作るには、物凄い努力が必要なんです。
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こんにちは。ヨッピーです。

最近、テレビ東京が尖った企画を連発しているのをご存じでしょうか。

 

YOUロゴ

例えばこちらの「YOUは何しに日本へ?」はその名の通り、空港で捕まえた外国人に「Why did you come to Japan?(何しに日本に来たの?)」と問いかけ、おもしろそうな人にそのまま「密着」する番組です。

5月26日に放送された回では、フィリピン人経営者に同行することによって、さまざまな陰謀論の黒幕である「秘密結社」として都市伝説などにもよく登場する「フリーメイソン」の日本支部に潜入取材することにも成功しました。

 

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こちらの「逆向き列車」は、今まさに出勤しようとしているビジネスパーソンを捕まえて、「今から会社を休んで逆向きの電車に乗りませんか?」と提案。会社とは逆向きの電車に乗ってみるという番組です。会社への言い訳や、旅費などはすべて番組が協力してくれるらしい。

突然、会社を休んで海鮮丼を食べに行ったり温泉に行ったり、断られ続けて番組が成立せず渋々再放送を流すなど、そのガチンコぶりにTwitterをはじめ、ネット上では驚嘆の声が挙がりました。

ちなみに「逆向き列車」が1日限定で戻ってくるそう。放送日は10月1日(水)夜11:58~。「まだ見たことがない…」という人はぜひ見てみよう!

ほかにも終電を逃した人に「家までのタクシー代を払うので家までついていって良いですか?」と声をかけて実際に家まで行ってしまう「家、ついて行ってイイですか?」や、太川陽介さんと蛭子能収さんがマドンナと呼ばれるゲストの女性をまじえて路線バスを乗り継ぎ、日本全国を旅する「ローカル路線乗り継ぎの旅」も、旅番組でありながら有名な観光名所や名物を総スルーする懐の広さ(?)で話題を集めております。

こういった「エッジの効いた企画」は、はたしてどういったところから生まれるのでしょうか? 上手く行かなかった回はどうするの? 失敗したら上司に怒られたりしないの?

そんな疑問が湧いてきたため、本日はとある場所にやってきました。

 

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じゃん。テレビ東京です

本日はテレビ東京の番組作りに密着して、番組制作の裏側を取材したいと思います!

 

プロデューサーに話を聞いてみよう

 

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まず、話を聞いたのが前述の「逆向き列車」を担当している星俊一プロデューサー(以下、星P)。

ああいう企画って、どういう時に思いつくの?

星P「例えば逆向き列車の場合ですと、僕は学生時代、田園都市線で通学してて、都心に向かう電車はすごく混んでるんですね。でも逆向きの電車はガラガラ。そういうのを見ると『ああ、あっちの電車に乗れたらな…』とか思うわけですよ。これって満員電車で通勤してる人はみんな一度は考えたことがあると思うんです。そういうところに着想を得て、同僚から『こんな企画どう?』って聞かれたんで『良いね』みたいな。ほかの企画もみんなで雑談しているなかで生まれることが多いですね」

失敗したらどうするの?

僕「でも、ああいうガチンコの企画って、そもそも人が捕まらなかったり、捕えたのは良いけど、あんまりおもしろくならなかったりすることもありますよね?」

星P「そうですね。4月の放送分は結局誰も捕まらなくて仕方なく再放送を流しました。でも、そうやって人探しに苦労している部分も“ガチンコ感”があっておもしろいと思うんですよ。司会のSHELLYさんも『凄いね。番組成立してないのに放送しちゃうんだ!』と笑ってくれましたし」

では、ここでみなさんに問題です。

この4月放送分の撮影で、声をかけた人に片っ端から断られた理由は、なんだと思いますか?

正解は「消費税の増税と決算でみんな忙しかったから」です。

4月放送分は3月に撮影したそうなのですが、3月って人事異動とか決算、さらには消費税の増税もあってみんな忙しかったらしい。「逆向きの電車になんか乗ってる場合じゃない!」っていう。

それって結局、ガチンコでやってみないとなかなか分からない部分だし、ガチンコでやるってことはそういうリスクもあるってことだ。

でも、ある意味『失敗した』部分も放送することで、『ああ、あれってガチでやってるんだ』っていう視聴者の評価にもつながるのかも知れない。

 

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上司に怒られないの?

僕「でも、そういう『どう転ぶかわからない』ことって失敗した時に上司に、怒られたりしないですか?」

星P「怒られるとかはまったくないですよ。そもそもテレビ東京って、『TVチャンピオン』とか『開運!なんでも鑑定団』みたいに、一般の方と一緒に作る番組をずっと手がけてきましたから、そういう文化が根付いているんです。プロの人たちじゃない分、予測不可能な部分もありますが、でもそれだからこそ出せるおもしろさってあると思います」

 

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ネットユーザーは意識してる?

僕「なんか、こう言うと大変失礼かも知れないですが、テレビ東京さんの番組って、すごくインターネット的だなぁって思うんですよ。インターネットのコンテンツって予算がすごく限られてるから、『いかにしてお金を使わずにおもしろいものを作るか』みたいなところで苦労してる部分もあって。ネットユーザーからも『おもしろい!』と言われているし、やっぱりネットを意識してるんですか?」

星P「いや、そういうのは全然ないですよ。僕らが意識するのはあくまで視聴者。ただ、放送された日にTwitterとかで『おもしろい!』って言ってもらえたり、『ネットで話題になってるよ』とか言われたりするとすごく嬉しいし、励みになりますね」

 

番組の収録に密着してみよう

 

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星Pにお話を伺ったあと、やってきたのがこちら。浅草にある今戸神社です。

「テレビの収録でなんで神社?」と思うかも知れませんが、今日はこちらの神社で9月限定の番組「不躾(ぶしつけ)ですが、ドキドキな発表の瞬間立ち会わせて下さい。」の収録が行われるのだ。

 

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 不躾ですが、ドキドキな発表の瞬間立ち会わせて下さい。

9月1・8・15・22日(月)夜11:58~の4回限定放送

司会:サンドウィッチマン

熱血応援ナレーター:松木安太郎

 

この番組は、例えばランジェリーモデルのオーディションに挑む美女や、ピアノの発表会に出場する女の子などの「ドキドキする発表の瞬間」に密着する番組。

ナレーターはサッカーの解説でおなじみの松木安太郎さんだが、理容甲子園に出場する19歳女の子に対して「受験番号は3番なんだ! 酒井高徳選手の背番号と一緒だね!」と発言するなど、どこかトンチンカンな実況に対するサンドウィッチマンさんのツッコミが笑える密着バラエティであります。

 

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なかはこんな感じです! すごい数の機材!

 

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逆から見るとこんな感じ。

カメラが5台!

 

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こちらの招き猫は、この神社からお借りしているらしい。

こういうところで予算を削減しているのかも知れない。

 

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女性スタッフもチラホラいますが、全体的におっさん率が高い!

 

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もっとテレビの現場って華やかなものをイメージしていたのですが、本当に現場仕事って感じですね。

 

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いよいよ本番がはじまった!

 

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僕「おお……! 本物だ……!」

サンドウィッチマンさんのツッコミが光ります。

ちなみに現場には、だいたい15人くらいいるらしい。いろんな機材もあるし、現場の人に「めっちゃ大変ですねこれ」と聞いたところ、「撮影機材以外は今戸神社さんからお借りしているので、そうでもないですよ」とのこと。

本当はサンドウィッチマンのお二人にも「テレビ東京ってやっぱりギャラが安いんですか?」と聞いてみたかったのですが、時間がなく聞けずじまい。残念。

収録は休憩をはさみながら、3時間程度で終了。

この日の収録分は9月8日と9月15日に放送。15日の放送では「浅草サンバカーニバルのコンテスト」などに密着するぞ! 松木さんを実況に起用した意味が本当に分からないから!

 

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まさに男の現場!

僕はゴリゴリのインターネット厨なので、今までテレビに対して「なんだこの!」って思ってましたけど、やっぱり良質なコンテンツを作るのには物凄い労力が必要なことがわかる。結局は地道な苦労の積み重ねなのであります。

テレビ東京~~~~! これからも応援してるぞ~~~~~~~!