個性なんか糞くらえ!”中級”サブカル女子入門
こんにちは、小野ほりでいです。
みなさんは、サブカル女子に憧れたことはありませんか?
サブカル女子は、3370のステップを経ることで誰でもカンタンになれるものなのです。
今日は読み終えるまでのたった10分で、サブカル女子に変身してしまいましょう。
登場人物
エリコちゃん
サブカル女子になろうとしたけどあきらめた女の子
サブカル2段の段位を持つカル女界(カルじょかい)の申し子
都合のいいタイミングでお便りをくれる読者の鑑
エリコちゃんミカ先輩こんにちは、キヨミです。
2013年8月に「”超”初級サブカル女子入門」と銘打った記事が公開されて
はや一年以上が過ぎますが、一体いつになったら中級編が始まるのでしょうか。
待てど暮らせど始まる気配がありません。
やらないならやらないでいいので何か続報をお願いします。
ダサい判断
エリコちゃん、忘れてたわけじゃないけど延び延びになってたサブカル女子入門の中級編を始めるわよ!
どうしたのエリコちゃん?
あんなにサブカル女子になりたがってたじゃない
だってなんか、サブカル女子ってバカにされるじゃないですか…
薄っぺらいとか付け焼き刃とか無個性とか…
どうせまた2ちゃんねるまとめサイトで得た情報を鵜呑みにして現実世界でもそうだと思い込んでるんでしょ?
少ない努力で優越感を得たくて始めたのにバカにされちゃうぐらいなら、何もしないほうがマシですよ
このくされ生八ツ橋~!
痛ぇ~! 何が違うんですか!
たしかに…たしかにサブカル女子はバカにされる!
でも「バカにされるならやめる」ってその態度…
間違いなくあんたは今、一番ダサい
判断をしようとしてるわ!!
へげげーーーーっ!!!??????????
「何が好きか」で人にバカにされたくない根性なしなんて一生何も好きにならずに批判ばっかしてればいい…!
でもそうやって人目を気にしてるのが本当は一番みっともないということに気付かなきゃダメよ!
大丈夫よエリコちゃん…
そういうサブカル叩きの全盛はずっと前に終わってて、むしろ蔓延しすぎた結果「叩いてるほうがダサくない?」という空気になりつつあるし
それにこの「バカにされるぐらいならやらないよ」というのはサブカル初級者から中級者になる過程で誰もがぶち当たる壁なの
私も知らないうちに成長してたんですね…
さあ、行くわよ…中国に!
何故
深い回答
サブカルの始祖
陳老師
いたわ…あれがサブカル界隈の重鎮、陳老師よ
ホホホ…ここを人が訪ねるなど何年ぶりかの
先輩、この人サブカル以前に現代文明について行けてるんですか?
そんな心配は無用よ、エリコちゃん!
老師、好きな映画はなんですか?
アメリ
すごい…!
凝ったものを答えたくなる場面であえて普通すぎて言いにくいタイトルを答える…百戦錬磨の自信がなければできない芸当だわ!
そしてこのメガネ…
ゴクリ…
ダテメガネじゃ
太めの黒縁メガネは基本…さすが老師!
視力は1.2じゃ
して、こんなところに何の用じゃ?
はい、老師…
サブカル中級者の壁
ほう、「安易に一目置かれたかったから始めたのにバカにされるくらいならサブカルなんて身につけなきゃよかった」とな…?
そうなんです、この子が…
エリコといったかな、お嬢さん…
中国には「張李の後悔」という故事があるんじゃ
張李の後悔…?
その内容はこうじゃ
昔あるところに張李という男がいた。
張李は色んな人の言うことを気にしながら生きた。
そして彼は老い…
何者にもなれなかった自分だけが残った。おわり
短いね!!!!!!!!!!
この故事からはある教訓を読み取ることができる…
それは「人目を気にしてると何にもなれない」ということじゃ
逆に言うとじゃ…
何か類型化できる人間を揶揄するのはそれになれない人間に過ぎんのじゃよ
地方で暮らしてさっさと結婚する人をヤンキー呼ばわりしたり昨今のインターネットでは珍しくない現象ね
特に今の日本人は、小さい頃から個性偏重思想を植え付けられた結果何らかのジャンルに類型化されることを極端に恐れるようになったんじゃよ
そして困ったことに、これはサブカルの入り口でもある…
いかなるコミュニティにおいても発揮される人が生まれ持った”特別さ”…
朗らかで快活、頭がいい、運動ができる、コミュニケーションが上手で友達が多い
そういった正統派の要素で上層に太刀打ちできないワシらが活路を見出したのが
”ニッチな文化に対する知識量の優越”じゃった。
生まれ持って秀でたもののないワシらは工夫なしには「特別」になれない…
つまり、普通の人が知らない特別なものを好きにならないと自分も特別になれないと考えたんじゃ
そして、「特別になりたい」と強くは願わない人たちが辿り着きにくい場所で知識を仕入れ、それを根拠に自分は特別だと信じた
しかし、そんな日々はすぐに終わりを告げた…
なぜなら、そういったニッチな世界ですら結局は類型化され、「これぐらい知ってないとね」みたいな知識が増えていったからじゃ
最初はちょっと調べればすぐ特別になれたのに、競技人口が増えて多少努力しないと結局は平凡という状態になってしまったのね
手っ取り早く”特別”になりたくて始めたことなのに、そこでまた競争の原理が働いてしまったら意味がない…
そこで、さらに楽をしようとする勢力が現れた
”サブカル叩き”じゃ
ある程度類型化された「特別になりたいと願う人たちが身につけがちな知識」を材料に、そういうのに詳しい人たちを揶揄し始めたの
だって、地道に知識を蓄えてのし上がるより、外側に出てそのジャンル全体をバカにした方が手っ取り早く優越感が味わえるもん
その通り…メインカルチャーに対抗して作った自分たちの居場所を焼畑農業よろしく燃やして、一時的な優越感を貪った
そして残ったのは、何も好きになれない、何者にもなれない、属することを恐れ、属する者を揶揄するだけが生きがいの虚しい自分…
類型化できる人間の性質を”没個性”と恐れ、排除していった結果生まれた、没個性と揶揄される心配もないが他に何の要素もない人間たち…
「人はみな個性的でなければならない」という強迫観念に屈し、もはや何者にもなれなくなった哀れな現代人の姿じゃ
彼らは今後も人間を類型化し、名前をつけるたびに”自分はその種類の没個性ではない”と安心するじゃろう…
ありがとう、老師
ちょっと喋り過ぎだからもういいわ
わかったか! じゃあサブカル女子になろう!
要するに、「安易に個性的になろうとするのはダサい」と揶揄してる人たちも結局は「個性」なるものに対する意識が高いということですね
そうなのよ。だったら「個性的でありたい」という欲求に素直に従って、ダテメガネをかけアメリを観たほうがかっこよくない?
というのが、陳老師が言いたかったことなのではないかと私は思うわ
”リスクを取る覚悟”がなければ何者にもなれない…
先輩、決めました。私、サブカル女子になります!
そうよ、エリコちゃん!
その覚悟をもって”中級”サブカル女子に認定するわ!
ということで…
ジャジャ~ン! ダテメガネ~!
そして…
Superflyが頭につけてた輪っかみたいなやつ~!
エリコちゃん…!
あのね、エリコちゃん…
輪っかはサブカルじゃないよ
(おわり)