このコーナーでは、Twitterで活躍する人にインタビューし、日々のツイートでは見えてこないアカウントの裏側を探ります。

 第1回は、Twitterの大物ネタクラスタ「ダ・ヴィンチ・恐山」さんにお話を聞いてきました。

 Twitter上でおもしろツイートを投稿し続ける「ネタクラスタ」をフォローしている人なら、すでに説明不要の恐山さん。

 Twitterのお気に入りを管理できるサービス「favstar」では、お気に入りされた数が「200,000+」と表示されるほど。「おもしろいアカウントといえば」で、まっさきに彼を上げる人も多いことでしょう。

 月刊ビッグガンガンで4コママンガ『くーろんず』、ダ・ヴィンチ電子ナビで『ダ・ヴィンチ恐山の降霊大喜利』と、連載を持っている人気御用作家でもあります。

 前編はこちらから。

 後編では、恐山さんが普段どんなことを考えているのか、さまざまなコンテンツはどうやって生み出されているのかを探ってみます。

 

▼ダ・ヴィンチ・恐山の少年時代


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天井に釣られた驚くほど不安定な椅子でコーヒーを飲みながら
引き続きインタビューに答えてくれた恐山さん

インタビュアー  恐山さんの職業は、「御用作家」とありますが、マンガ家といわれることも多いですよね。

恐山 マンガの連載はしているのですが、「コミPo!」というツールを使っているので、ちゃんとしたマンガは描けないんです。画力は「ウマい中1」くらいしかありません。私は、心理的な成長も中1で止まっているんですよ。

インタビュアー  達観した印象がある恐山さんですが、それが中学1年生ですでに形成されていたとは…。すごい中1ですね。中学生のころは、何をしていたんですか?

恐山 中学では美術部に入っていましたが、3年間で油絵を1枚描くくらいで、ほとんど喋っているだけの部活でしたね。後は、録画した深夜アニメや教育テレビをずっと見ていました。自分だけが読むための新聞を書くことも。新聞の中では、ジャニーズのアイドルへインタビューをしていたりするんです。

インタビュアー  全部、妄想で書くんですね。

恐山 はい。妄想なので、自分の好き勝手にできるんです。「グラップラー刃牙」が自分に厳しい状況を妄想してトレーニングしますが、私の場合は自分の都合のいいように妄想していましたね。

インタビュアー  戦っている内に、肌がつやつやしてきそうですね。ほかに妄想の産物はあるんですか?

恐山 小説を書いたり、広告を書いたり、四コマを書いたり…。誰に見せるわけでもなく書いていました。

インタビュアー  現在のようにネットで発信はしていなくとも、妄想をアウトプットしていたんですね。

恐山 そうですね。架空のスポーツのルールブックも作りました。「架空」というものがとにかく好きで。架空のスポーツを広めるための理事長が地方でやっている講演会の内容を作ったり、架空のスポーツをしている団体「オピック」のロゴを作って筆箱の裏に書いたり…。架空の文豪の日記を書いたときは、途中で面倒になって文豪を死んだことにしました。

インタビュアー  面倒になっただけなのに、心半ばで未完となってしまったようにしたんですね。

恐山 架空の生きものをまとめているノートは、5冊を超えて510匹以上います。

インタビュアー すごい! ポケモンとかなり競った数ですね。

恐山 知らず知らずの内に、ポケモンに対抗していたのかもしれませんね。体長ごとのサイズ比較表を作ったり、その生きものの観測記をシートン風に書いていて、その人が主人公のタイアップマンガを書いたり。

インタビュアー  自己完結しているのに、タイアップってすごいですね。まったくタイアップになっていない! そこから「小説家になろう」とか「ゲームクリエイターになろう」とか、そういう考えには至らなかったんでしょうか?

恐山 なりませんでした。もし小説家になるとしても、賃金とストレスを天秤にかけて、普通のサラリーマンの方がちょっとでも重ければサラリーマンになりますね。好きなことをやれても、それでは意味がないなと。「飢え」と「死」が本当に怖いんです…。

インタビュアー  唐突! 恐怖の対象が「飢え」と「死」って、戦前の人の感覚みたいですね。「怖いものの話」で、概念を出してくるのは珍しいですよ。

 

▼1日に40回はエゴサーチを行う

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アルミホイルの仮面がないと、人前であがってしまうのだとか

インタビュアー  Twitterをしていると、「飢え」と「死」だけでなく、批判されるという嫌なこともあるかと思うのですが、恐山さんはそういったものを気にするタイプですか?

恐山 メンタルが弱いので、批判されると本当に心にきます。エゴサーチは、一日に40回くらいはしているんじゃないでしょうか。Twitterだけでなく、Googleのブログ検索などもしています。一時期、モバゲーも調べていましたね。

インタビュアー  嫌なのに見に行ってしまうんですね。モバゲーで批判的なことを言っている人はいるんですか?

恐山 まったくいないんですけど、強迫観念で見てしまうんです。批判されること自体はあまりないのですが、「つまらない」と言われることはあります。私は自己評価の基準がなくて「誰に何といわれても、自分の作ったこれはおもしろいんだ」って思いがあまりないんですよ。

インタビュアー  そうなんですね! 意外です。

恐山 だから、すぐに人の評価が返ってくるTwitterは、私に合っていたのかもしれません。出版物は、反応がほとんど返ってこないのですごく不安になってしまうんです。本当は、ひとりひとりの反応を聞きたい。言わないなら、水車にくくりつけてでも聞きたい。

インタビュアー  そこまで評価を言わない人はいないでしょ。他人の評価を気にしてためたストレスは、どうやって解消しているんですか?

恐山 愛ですね。

インタビュアー  …愛?

恐山 批判されたら、その人の400件前のツイートまで読み込こんで、想像して顔を描くんです。

インタビュアー  相手をプロファイリングするわけですね。

恐山 相手をできるだけ想像して、リアルな人として愛を持つんです。そうすることで、愛が敵意を上回るんですよ。

インタビュアー  めちゃめちゃ大変そうですし、キチンと相手を許すところまで精神を持って行っているんですね。

 

▼ダ・ヴィンチ・恐山の頭の中

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キャプテン翼カルタの「り」をロック画面に設定
恐山「翼は蹴りたがるはずなので、これは望んでいないはず」

インタビュアー  普段ツイートするときは、どんな環境で行っていますか?

恐山 主に携帯電話からが多いですね。自宅でいるときはパソコンを使います。

インタビュアー  ツイートするネタは、ストックされていたりするんですか?

恐山 気になって撮影した写真は、いくつかストックしていますね。これは「目をボタンにする斬新なゲーム」です。ギャートルズっぽいなにかです。

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インタビュアー  父親が、ギャートルズのそれとは明らかに違いますね。

恐山 撮影して時間が経つと、何がおもしろかったのか自分でも忘れてしまうことがあります。

インタビュアー  たしかに、パッと見では笑いのポイントがわからない画像も多いですね…。

恐山 携帯電話でネタをメモすることもありますね。iPhoneの瞬間日記というアプリは、起動が早くて愛用しています。

インタビュアー  メモに書いてある「分別して捨てよう」っておもしろいですね。

恐山 これは、モナリザを捨てるなら、木だから燃えるごみになるんじゃないかと思って書いておいたんです。現代美術なら「プラスチックが多いので不燃、もしくは粗大として細かく砕いて捨てる」とか。この前調べたら、金(きん)は何ゴミで捨てていいのかがわからなかったんです。金って、捨て方がどこにも載っていないんですよ。

インタビュアー  捨てるものじゃない、ゴミじゃないものも分別する方法があればいいというわけですね。金を捨てたい人がいたらもしいたら、困るんじゃないかということですね。金属として捨てればいいんですかね…? もし人間も分別するとしたら、タレントの千原ジュニアさんは、顔にチタンのプレートが入っているから分別すると金属も出てきますよね。

恐山 千原ジュニアさんをそのまま燃やすと有害物質が出てくるから、分別しないとダメですよね。「千原ジュニア」って枠が、役所でもらえる分別シートに載ってないから、いざというときに困るんです。

インタビュアー  載っていないからといって「その他」で済ませたくないというわけですね。

恐山 人間を錬金術で作り出す場合も、千原ジュニアさんを錬金したいなら、チタンを混ぜないといけない。顔にチタンが入る前、関西で尖っていたころの千原ジュニアさんばっかり生み出してしまいます。

インタビュアー  生み出せるのは生み出せるんですね。ではここで急にしめますが、最後に恐山さんの今後のビジョンを教えてください。

恐山 本当に急ですね。現在、依頼を受けて仕事をすることが多いので、自分発信で仕事に繋がるようにしたいです。USTREAM配信「オールナイト虚無」も始めたので、これが新しいことへ繋がれば。自分では「これはやらない」ということを決めないようにはしていきたいです。ガチャピンみたいに、何にでもチャレンジしたい。急にカヌーとか始めたいですね。

 

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 というわけで、インタビューはここまで。

 今後もこのコーナーでは、Twitterで活躍するさまざまな人へインタビューを行います。おたのしみに!

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加藤

有限会社ノオト所属のライター。平日毎日更新のおばかポータルサイト「オモコロ」の副編集長を勤める。TwitterIDは@katokato