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こんにちは。バズ研究家のセブ山です。

「バズ」とは、インターネット上で情報がたくさん拡散されることを指す造語。

有益な情報や、衝撃的なスクープなどは「バズりやすい」とされています。

しかし、有益な情報の中には、なぜか全然バズっていないケースもあります。

 

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たとえば、こちらのエッセイ漫画「わたしは全然不幸じゃありませんからね!」は、非常におもしろい作品にも関わらず、インターネット上ではあまりバズっていません。

いったい、なぜバズっていないのでしょうか?

どうすれば、もっとバズるのでしょうか?

 

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というわけで今回は、「わたしは全然不幸じゃありませんからね!」の著者である谷口菜津子さんをお迎えして、一緒に「なぜバズっていないのか?」を考えていきたいと思います。

 

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セブ山「本日はよろしくお願いいたします」

谷口「はい、よろしくお願いします!」

セブ山「『わたしは全然不幸じゃありませんからね!』を読ませていただきました! おもしろかったです!」

谷口「ありがとうございます」

セブ山「まだ読んでいない人のために、『わたしは全然不幸じゃありませんからね!』をカンタンに説明すると、どういう本ですか?」

谷口「個人ブログ『たにぐちF』に載せていた漫画をまとめたものです。すべて、私の日常で起こった実話を描いています」

セブ山「どうですか? 売れていますか?」

 

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谷口「どうなんでしょうか…?」

セブ山「え、知らないんですか?」

谷口「売れているかどうか怖くて、担当編集者に聞けていないんです。というか聞きたくない…。売れ行きが不安すぎて、最近4コマが描けなくなってしまったんですよ…」

セブ山「えー! そんなに!? 本を出したくなかったんですか?」

谷口「もちろん出したかったですよ! でも、ブログの書籍化は考えていなかったので、お話をいただいた時はびっくりしました!」

セブ山「そもそも、ブログで日記漫画を描きはじめたきっかけは何だったんですか?」

谷口「もともとはポートフォリオのつもりで描きはじめました。レポート漫画を描いていきたかったので、谷口菜津子という人間がどういうキャラクターなのかを知ってもらうために描きはじめました

セブ山「なるほど。では、今後も谷口さんはレポート漫画を中心に活動されていくって感じですか?」

谷口「いや、でも、最近は毛色が違う漫画も描き始めて、今後はとくに限定せずにいろいろ挑戦していきたいという気持ちに変化してきました。ストーリー漫画もやりたい!」

セブ山「楽しみだ! 谷口さんのストーリー漫画も読んでみたい! ところで、“わたしは全然不幸じゃありませんからね!”を読んでいると、友だちと飲み歩いている描写や、ひとりで晩酌をしているシーンがよく登場しますが、谷口さんはお酒が好きなんですか?」

 

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谷口「好きです。お酒、超好き!」

セブ山「何をよく飲むんですか?」

谷口「ビールです。最近は日本酒にもハマっています」

セブ山「本の中にも『レバ刺しとわたし』というレバ刺しとの恋愛を描いた漫画も収録されていますが、やっぱり、酒のつまみは肉系が多いんですか?」

谷口「そうですね。生肉が大好きなので」

セブ山「いいですね! これぞ肉食系女子って感じで! でも、漫画を読んでイメージしていた谷口さん像と、実際にお会いした印象はだいぶ違いますよね。モテないって描いていたので、もっと根暗な感じの人だと思っていましたが、全然そんなことない」

谷口「いや、私はモテないとは一度も言ってないですよ! “モテたい”とは描いていますけど」

セブ山「たしかに、そうかも。勝手にモテないんだと思っていました」

谷口「まあ、でも、たしかに朝まで飲んで、早朝にふらふら歩いていたらベンチに座っているおじいちゃんに“おい、ブス!”って言われたりしますが…自分では…ブスではないと思っています…」

 

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セブ山「あははははは! そんなことがあったんですね。ちなみに今、彼氏は?」

谷口「1年くらい彼氏いません」

セブ山「前の彼氏って、書籍の中にも登場するサイコ野郎ですか?」

谷口「そうです! とんでもないサイコ野郎でした! いきなり水をかけられたり、お風呂のドアを壊されたり…」

セブ山「そういうケンカの原因って、やっぱり彼氏の浮気が原因だったんですか? 本の中にそういう描写がチラッと描いてありましたよね」

谷口「いや、それは最終的な別れの理由であって、ケンカのそもそもの原因は私が元カレと連絡とっていたからなんです…

セブ山「え?」

谷口「元カレとの…まあ、やましいやり取りをしているメールを見られてしまいまして…」

 

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セブ山「えっ…それって…谷口さんが悪いのでは…?」

谷口「あっ、でも、浮気はしてないんですよ! それをきっかけに、少しでも怪しい行動があったら、爆ギレするようになってしまったんです…」

セブ山「谷口さんも悪いところはありますが…、でも、お風呂のドアを壊したりするのはよくないですね!」

谷口「お風呂のドアが壊れているので、湯船に浸かっていると、玄関のドアが見える状態がしばらく続きました。仲直りしたあとも、壊れたドアを見るたびに思い出して腹が立ってくるので、サイコ彼氏に『直してくれない!?』って言ったら『ごめんね。じゃあ、玄関のドアにかわいい子犬の写真を飾ってあげるから! それなら腹が立たないでしょ!』って言われて…かわいいなと思って許しちゃいました

セブ山「え、どういうこと? 何の話? 元カレのサイコ話から、急にノロケ話になったんで理解が追いつかなかった…」

谷口「あれ? この話、けっこう共感してもらえるんですが…。あと、別れようって言ったら、私の部屋のカギを持ってどこかに行ってしまった事件とかもありました」

セブ山「えー! じゃあ、家に入れないじゃないですか!」

谷口「そうです。部屋に入れなくて困りました。でも、そいつはカギを持って私の部屋の周辺をグルグルと徘徊しているから、タイミングを合わせて捕まえて、無事にカギを取り返すことができました」

セブ山「え? 何それ? そういうゲーム? ファミコンのゲーム?」

谷口「とにかく、怒るとそういう奇想天外の行動をする人だったので、途中から私もおもしろくなってきてしまって『次はどんなふうに怒るかな?』と、だんだん怒らせるのが楽しくなってきてしまったんです

セブ山「悪いなぁ~! 谷口さんって性格が悪いですね」

谷口「いや、性格悪くないですよ! ただ、人がめちゃくちゃ怒っているのを見るのが好きなだけなんです! キレすぎてわけわかんなくなって、おかしくなっているのを見るのが好き! 何するんだろうなってワクワクするんです」

セブ山「なんとなくわかりました。早朝にブスって言ってくるジジイとか、サイコな彼氏とか、変な人が谷口さんに寄ってくるんじゃなくて、谷口さんが変な人を寄せ付けているんですよ!

谷口「えー! やだやだやだやだー!」

 

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セブ山「さて、そんな谷口さんが描いた『わたしは全然不幸じゃありませんからね!』ですが、今後どうやったらもっと売れると思いますか?」

谷口「う~ん、この自分自身を表現したピンクのキャラクターが悪いのかもしれないって最近考えているんです。変える気はないけど、もっと美少女キャラとかなら評判よかったのかなと思います」

セブ山「どうして、この角が生えたピンクの化け物にしたんですか?」

谷口「きっかけは、先輩と遊びに行った話をブログに描こうとしたときに、先輩を化け物みたいなビジュアルで描いてしまったこと。そのあと自分自身をかわいく描いたりしたら、先輩から顰蹙を買いそうだったので、自分のキャラクターにも角とかをはやして化け物っぽくしたのがはじまりです。のちに、かわいくさせたくなってスカートを履かせました」

 

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セブ山「なるほど。じゃあ、僕が考えてきたバズっていない理由を聞いてもらってもいいですか?」

谷口「はい、ぜひお願いします!」

セブ山「これは僕の憶測ですが、本を読んだ人は谷口さんがこういう人だと思っていると思うんです。でも、実際に会ってみたら、漫画とは違うから読者は裏切られたと感じてしまっているのではないでしょうか?

 

【バズってない理由】

漫画の中でのビジュアルが本人と全然違うから!

 

 

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谷口「ん? どういう意味ですか?」

セブ山「つまり、角がはえたピンクの化け物に谷口さん本人のほうを似せていけばいいと思うんですよ!」

谷口「はあ? すみません、何を言っているのか全然わかりません…」

 

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セブ山「たとえば、こういう角がついたカチューシャを持ってきたんですが装着していただいていいですか?」

谷口「えー! マジですか!? 私、こういうの嫌いなんですけど…」

 

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セブ山「いいから! いいから! 騙されたと思ってつけてみてください!」

谷口「しかも、これ、なんか汚いし…」

セブ山「2年前のハロウィンパーティーで誰かが忘れていったものなので、多少汚れていますが気にしないでください!」

谷口「気にするわ! せめて新しいやつ買ってきてくださいよ…せめて…」

 

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谷口「指示通りつけましたけど…どうですか…?」

セブ山「う~ん…何かが違うなぁ…」

谷口「…」

セブ山「なんだろう? 何が違うんだろうなぁ?」

谷口「…あの、もう外していいですか?」

セブ山「あっ! わかった! 皮膚の色が違うんだ!!!!

谷口「え?」

 

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セブ山「たまたま今日、こういうボディペイント用の塗料を持ってきていたので、顔に塗ってもらってもいいですか?」

谷口「えっ!? 塗るんですか!? もう、それはあとでPhotoshopで加工してよ!」

セブ山「ん? フォトショップ? 何それ?」

 

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谷口「しかも、これ赤色じゃないですか!? あのキャラクターはピンク色なんですけど!」

セブ山「いや、ピンク色の塗料は少し高かったので、赤色で我慢してください」

谷口「なんでだよ! ピンクを買って来いよ! ふざけんな!」

 

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セブ山「まあまあ! 細かいことは気にせずに! ほら、手ぇ出して!」(ブチャッ)

谷口「ヤダー! ほんと、ヤダー! 泣きたいー!」

セブ山「本、売りたいんでしょ? 売れるから! 絶対売れるからがんばって!」

 

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谷口「売れないしー! これで余計に売れなくなるしー! 本当に嫌だー! お母さんが見たら泣くよー!」

セブ山「大丈夫! キレイよ! なっちゃん、キレイよ!」

谷口「気安く『なっちゃん』って呼ぶな! あー! もう! 本当にひどい! 前半、真面目にインタビューに答えていた自分が恥ずかしい! 今日、来るんじゃなかった!」

 

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谷口「…どうですか? 塗れてますか? もうこれくらいでいいですよね?」

セブ山「いや、甘いよ! 貸して! 俺が塗るから!」

 

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谷口「えっ! えっ!? いや! やめてください! ちょっと待って!」

セブ山「うるせぇー! 減るもんじゃないだろ! 塗らせろや! 目をつぶってる間に終わるから我慢しろ!」

谷口「ヤダー! ヤダヤダヤダー! 誰か助けてー!」

 

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谷口「もう彼氏できなくなっちゃうよー! ひどいよー!」

セブ山「ゴチャゴチャうるせぇーな! お前なんかどうせ彼氏できねぇーよ! 黙ってろ!」

谷口「ううっ…ひどい…ひどすぎるよ…」

 

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セブ山「鼻の下もしっかり塗っていいですか? ちょっと鼻に指が入るかもしれませんが、我慢してくださいね!」

谷口「いやぁぁあああ! んー! んー! 入ってる! 入ってるから! もうやめてー!」

 

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セブ山「おー! めっちゃかわいい! なっちゃん、すごくかわいいよ! 売れる! これは確実にベストセラーになるよ! 直木賞もとれるよ!」

谷口「売れねぇーよ! もうおしまいだよ! ちくしょー…」

セブ山「よし! できた!」

 

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セブ山「完成しましたー! すごい! 漫画のキャラクターにそっくりだ! これなら漫画を読んだ読者が、谷口さん本人に会っても裏切られたとは思わないはずです! あっ、実物も本当に角がはえた化け物だったんだって思ってくれますよ!」

谷口「化け物って思われるんだ…」

 

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セブ山「さあ、ご自身でも生まれ変わった自分の姿を見てください!」

谷口「うわー! 何これー! 赤鬼じゃねぇかよー! もう泣きそう…」

セブ山「これで、早朝に歩いていてもジジイにブスだって言われないですね!」

谷口「ブスとは言われないかもしれないけど『鬼だー! 鬼が出たぞー!』って言われるわ!」

セブ山「あれ? 心なしか顔色も良くなってますよ!」

谷口「顔色、見えてねーだろうが! あんた、本当に最低だな…」

 

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セブ山「いやぁ~、よかったよかった! ベストセラー確実! これは印刷所が忙しくなるぞ~! めでたしめでたしですね! ねぇ、谷口さん!」

谷口「…」

 

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セブ山「よかったですね! 僕に感謝してくださいね!」

谷口「…」

 

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谷口「…」

 

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谷口「(やっぱりわたしは不幸なのかもしれない…)」

 

 

 

「わたしは全然不幸じゃありませんからね!

絶賛発売中!

 

 

 

あなたも「なんでコレ、バズってないの!?」なんてものがあったら、下のメールフォームより投稿してください!!

私、セブ山がその理由を調べに行くかもしれません。

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セブ山

インターネット文化人類学者。人々がインターネットで織り成す「文化」について研究している。著書に『インターネット文化人類学』がある。TwitterIDは@sebuyama

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