愛し合う男女はキスをする。唇と唇を重ねる幸せなキスだ。このキスの様子をシルエットに映したものがある。シルエットキスだ。シルエット越しにキスをするもので、よりキスがロマンチックに感じられるのである。

カップルの幸せな様子が伝わってくる。普通のキス写真と違い、生々しさがなく、ファンタジーすら感じる。それがシルエットキスなのだ。

しかし、シルエットキスならば、相手がいなくてもできてしまうのだ。

 

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シルエットキスに限らず、キスをするには相手が必要と考えてしまう。そのような考えが、幸せなシルエットキスを遠ざけているのだ。その写真を撮るために、夜の公園へと一人やって来た。

 

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私が彼女とシルエットキスをしている写真だ。とても幸せそうではないか? シルエット越しに愛を感じることができる。彼女は間違いなく私のことを「けいたん」と呼んでいるだろう。そのように愛し合う二人が映し出されている。

 

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一人です

布の裏に回れば、彼女なんていない。私は一人だ。誰も私を「けいたん」と呼ぶものはいない。

 

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シルエットキスは一人で撮影できてしまう。シルエットキスに必要なものは恋人ではなく、三脚やライト、人形、布。それだけでいいのだ。生身の女性なんて必要ない。

とても簡単なので、その手順を紹介しよう。

 

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まずは、シルエットを映し出す布を木と木の間に張る。

 

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次に人形をガムテープで三脚に固定する。

 

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その人形を照らすライトを、これまた三脚にセット。

 

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さらにその後ろにもう一本の三脚を設置し、上記の画像のようにライトなどをセットする。カメラはタイマーでシャッターを押す。これでシルエットキスの準備はほぼ完成だ。

あとは、ライトとライトの間に自分が入れば完成。きっとこの瞬間、私は日本で一番、三脚を利用していたと思う。

 

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向かい合う私と彼女。

 

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そして、キス。

撮影は一人で行っているし、彼女もいない。この彼女は人形だ。ただし、この写真をSNSにアップすればどうだろか? きっと周りは「地主は幸せそうでいいな…」「彼女とうまくいっているんだな!」と思うはずだ。

 

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しかし、一人である。光の位置を変えることで、影の大きさを変え、人形を私と同じ大きさに見せてシルエットキスの写真を撮っているのである。寒風が吹く夜の公園で。ただし、写真を見る限りは幸せ。優雅に泳ぐ白鳥が、水面下では足をバタバタさせているのと同じだ。

 

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ライトの場所が影の大きさに関わって来るので、その辺は撮ってみて、調整していく必要がある。しかし、それさえできれば一人でもシルエットキスが撮れる。彼女は必要ない。人類はいま一歩前へと進んだ。Welcome to 新世界!

 

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写真は撮っている時はいいが、自宅に戻り、写真をチェックしている時は言葉にできない、悲しみ似た何かを感じる。それを感じない強い心を手に入れることが必要だ。みんなには強く育って欲しいと思う。

 

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シルエット頭ポンポンもできる。

 

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もちろん一人だけど。

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地主恵亮

1985年福岡生まれ。思い立ったが吉日で行動しています。地味なファッションと言われることが多いので、派手なメガネを買おうと思っています。デイリーポータルZなどで連載中。個人サイト「Web独り者」「彼女がいる風の地主恵亮」。TwitterIDは@hitorimono

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