ネット民戦慄! 表現の自由を脅かす"ゾーニング破り"とは?
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みなさんこんにちは、小野ほりでいです。
インターネットといえば性の話ですが、最近の性の話が大変なことになっているのをご存知ですか?
<登場人物>
エリコちゃん
たまにインターネットすると炎上するOL。
ミカ先輩
たまにインターネットする人を炎上させる側のインターネット大好きOL。
森山ゴリ夫
かつては同人作家だったが筆を折り、今はたまにインターネットする人を炎上させている。
何って、いま女子の中でブームになってる「ダテ松さん」の二次創作じゃないですか!
知らないんですか?
ごめん、知らなかったしエリコちゃんが画力ないのかもともとこういうアニメなのかもわからないよ…。
仕方ないですね先輩…。
ダテ松さんというのは…(キュッキュ)。
ダテ松さんというのは、登場人物が全員メガネ男子(ダテ松のみダテメガネ)の37つ子という奇抜な設定ながらあらゆる需要を網羅した細かいキャラクター設定とそれらの織りなす関係性の想像膨らむ描写で女子のハートをガッチリとキャッチしつつ内容や展開は視聴者に媚びすぎない振り切ったハイテンションギャグという今季注目度ナンバーワンアニメですよ!!
でも拡散したのはよかったね、おめでとう。
エリコちゃんてずっとフォロワー0だったから…。
そうなんですよ!
私もなんで拡散したのか分からないっていうかやっぱり愛? 作品への愛が滲み出ちゃった感じというか…。
あれ…でもこれ、リツイートに比べてお気に入りの数が少なくない?
アリャエ~~!!!!!!!!??????????
なんで?
私今回に限ってはそんなに悪く言われるようなことしてないような…。
でもこの引用自体は拡散されてないみたいだし…。
となるとやっぱ…。
あったあった。
トゥギャッターにまとめられて炎上してるみたい…。
ちょっと待ってください!
私は見たくないんで、先輩は薄目で見てなおかつぼんやりとした表現のみで私に伝えてください!
↓ソーシャルゲームの利用規約ぐらい速くスクロールしよう!
これは…な、なんか何を言ってるのかはよくわからないけど言われてみればそうかもしれないという感じで私が完全に悪者に仕立てあげられてるー!!!!
検索避けしよう!
これはやばい…。
アイスケースに入って炎上したときの比じゃない…。
でも、プロフィールでちゃんと注意書きしたのになんで炎上したんだろう?
こういうネタのゾーニングは、リツイートにリツイートが重なってぐだぐだになっちゃうからね。
ゾーニングというのは、情報の発信者や仲介者が表現物を「見たくない人・見せるべきでない人」にまで行き届かないよう配慮したり工夫したりすることよ。
でも、リツイートで見たくない人に届くのは、私じゃなくてリツイートした人の責任じゃないですか?
もちろんそうよ。リツイートが不快ならフォローを外すこともできるし、リツイートだけ非表示にする設定もあるし。
でも怒られて嫌な思いをするのは結局こっちだから、どういうふうに工夫できるか自分で考えないとね。
昔からイラストを投稿してる人たちは、こういったことが起こらないようすごく気をつけてるんだよ。
エリコちゃんがやったような注意書きはもちろん、違う呼称を使って検索避けしたり、アカウントに鍵をかけたりね。
そっか…。実際のキャラクター名を言わないほうがいいのか。
でも、アカウントに鍵をかけるのはなあ…。好きな人に見てもらいたいから投稿するわけだし。
まあ、そのへんの基準は人によって違うけどね。
ただ、気をつけないと怒る人は内外にいるってこと。
ゾーニング破り?
ただ、今回エリコちゃんが炎上した原因は、一方的にエリコちゃんの不注意が悪いわけでもないのよ。
さっき見せてもらったように、エリコちゃんは鍵こそかけてないものの「腐向け注意」と警告はしてるね。
このリツイートした森山ゴリ夫という人の「こういうのって気持ち悪くない?」というコメント…。
これは明らかに「見て不快に思う人に見せる前提」で共感を集めるためにやっている面があるよね。
これはつまり、発信側の「見て不快に思う人には見せない」という意思を無視する気マンマンということになるわ。
こういうふうに、好き嫌いのある事物に対する配慮をわざと無碍にする行為を"ゾーニング破り"と言うの。
本当に言うの!!????????
当たり前だけど、人には好き嫌いがあるし、好みはみんなそれぞれ違う。
だから好きな人と、嫌いな人がうまく棲み分けて共存していくことが大事なの。
でも、嫌いなものが「この世に存在する」だけで許せない人もいる。
それって、運よく自分の好きなものが多数派や健全とされている側に属している人の理屈じゃないですか?
そうね、ただそれほど単純でもなかったりするのよ。
不健全な自分を自分で抑圧していたりするケースもある。
見る権利、見ない権利
当たり前だけど、どんなものにも好き嫌いがあるよね。
みんな好きなものは見たいし、嫌いなものは見たくない。
何かを好きな人の「見る権利」も、逆に嫌いな人の「見ない権利」も、尊重してあげたい。
でも、権利というのは、全員に対して最大まで尊重すると矛盾してしまうものなの。
この場合、当然「人を殺す権利」も「生きる権利」も同時に認められることになるよね。
だけど実際は、「人を殺す権利」を認めた時点で、左の人の「生きる権利」は成立していないの。
もっとも、殺す権利を行使されて殺されたら、殺す権利も奪われるからこっちの権利は単独で矛盾するけどね。
言いたいのはつまり、「個人の権利は他人の権利とのバランスによって成り立っている」ということ。
だから、実際に認められる権利はこんなところ…。
人を殺したい人は人を殺さない。
そのかわり、殺されたくない人は「人を殺すゲーム」くらいなら文句はつけない。
こういうふうに、権利は「他人の権利を害しない範囲で最大限に認められる」というのが基本形なの。
逆に言うと、「一方の権利」だけを100%重要視すると、それがもう一方の人権侵害になるかもしれない。
要するに、人権は本質的に「単独では考えられないもの」と思っておくといいわ。
「自分がBL本を読む権利は認めてください。そのかわり男がエロ本を読んでもキモッて言いませんから」ということね。
好き嫌いが人によって違うものである以上、「見ない権利」を優先したらこの世から何もなくなってしまう。
だから、自分が何かを好きでいられる権利を守るために、誰かが何かを好きであることに寛容にならないといけないの。
性的に見てはいけないの?
何なんですか、この人たち…。
寄ってたかってわたしを性倒錯者のド変態みたいに…。
そ、そもそも私はキャラクターたちを性的な目で見ているというよりは、キャラクター同士の特殊な関係性というか…。
そう、たとえば互いへの尊敬や友情が絶対的に前提にあって、その情熱が高まるあまり一瞬性的な感じになりかけるけどギリギリでならず、互いへの友情や尊敬とはまた違った既存の言葉では表現できない類の愛着がありながら決して結ばれはしないという微妙なシチュエーションにキュンとくるのであって、むしろ性的な感じになったら困るというか…。
いや、困ると言ったら嘘になるけど、むしろうれしいかもしれないけど…いや、うれしいよ! うん。そこは認めよう。だけどね、だけど決して主旨はそこにあるわけではなくて、あくまでキャラクター間の揺るぎない信頼関係や友情が優先して表現されていないと嫌なわけで、それはみなさんおっしゃる性的というよりはむしろ性と正反対の博愛に近い概念であって要するに…。
異常じゃないよ!!!!!!
世間で認められた愛だけが愛じゃないんだよ!
相手が異性でも、同性でも、人種や年齢が違っても…そして相手が存在しないキャラクターであっても、セクシャリティのひとつとして尊重されるべきなんだよ!
他人の性にすぐキモいだの何だのと口出しする人は、自分の性にコンプレックスを抱えてる場合が多いんだよ!
つまり、SNSやネット上に何らかの爆弾を抱えてる確率がきわめて高いはず…。
一緒に探し出して、炎上させましょう!
こうして2人は、まとめを作った森山ゴリ夫のツイッターを遡り続けた。
そして「異常にツイート多いなこの人。働いてるのかな」と
心配になり始めたその時…。
もうやめましょうよ先輩。
こんなことしても不毛なだけですよ。
いいえ、きっとコイツは抱えてるわ。
何かこう、超大陸パンゲア級にデカい爆弾を…。
とりあえず私は仕事に戻るんで、先輩は一人で探しててください…。
これは日常ツイート、これは会社の愚痴、これは日常ツイート、これは…これも日常ツイート…。
(おわり)