県知事、区長、駅長…佐賀の人にいろいろ聞いてきた
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前編はこちら。
こんにちは。ヨッピーです。海の上から失礼します。
本日は、佐賀県の観光事業「抱く県、佐賀 ~SAGAMONOGATARI~」の特別特派員として、佐賀県唐津(からつ)市にある離島「神集島(かしわじま)」に向かっております。
ちなみにこの「抱く県、佐賀」のキャンペーンですが、なんとLINEと連動していて、「会ってみたい人に会える」という斬新なシステムなのであります。
●「抱く県、佐賀 ~SAGA MONOGATARI~」公式サイト
●LINEアカウント 「抱く県、佐賀(ID:@i-daku-saga)」
たとえば、予定している旅行先で“佐賀の会いたい人”を探し、実際に会って現地のことを直接お伺いできるシステムなんだそうだ。
これ、普通にいいサービスじゃねぇか。
そんなわけで「じゃあ、僕も誰かに会いに行ってみよう」と思い、この神集島にお邪魔することにしたのです。
いやー、いい天気だし最高!
…とか思ってたら、あっという間に神集島に着きました。近ぇな。
これが神集島の全景。
面積1.41平方キロメートル、人口400人に満たない小さな島なのですが、こちらの区長さんがかなりユニークという噂を聞いたのでお邪魔してみました。
1人目:過疎化の離島で奮闘する区長
こちらが神集島地区の区長、髙﨑正幸さん。
さっそく、島について区長にいろいろ聞いてみよう!
まずね、神集島は歴史が古くてね。神功皇后(じんぐうこうごう、西暦190年~)が、当時朝鮮半島にあった新羅(しらぎ)に出兵したとされるときに、この島に神様を集めて軍議したっていう伝説があるんよ。そこから「神集島」っていう名前がきてるのね。
おぉ…そんなに前から。
そうそう。古墳なんかもあるし、万葉集にはこの島について歌われた和歌が七首も載ってるよ。まぁ、それだけ歴史がある島っちゅうことです。学校で「遣唐使」って習ったでしょ?
はい。“白紙(894年)に戻そう遣唐使”ってやつですね。
あれもね。この神集島を拠点にして出発してたのね。この神集島は入り江があったもんだから、風よけなんかにちょうどよかったのよ。唐津市はその名の通り、唐(から)に行く津(みなと)でしょ? つまり、この島は中国大陸と交易するときの重要なルートだったわけ。
なるほど! それで昔は栄えたんですね。
そう。漁業なんかも盛んでね。
でも、これ見てよ。島の人口ピラミッドなんだけど、見てのとおり上のほうが随分膨らんどるでしょ?
おぉ…かなり高齢化してますね。
そう。今は過疎化も進んでいてね。人口は1300人から357人になって、そのうち中学生はゼロ。小学生と高校生も2人ずつしかおらんのよ。しかも、みんなどんどん年取るもんだから、40代50代なんて若手扱いされるのね。
ふーむ。若い人はみんな街へ出ていっちゃうんですか。
そう、唐津に行ったり福岡に行ったりね。やっぱり仕事がないとどうしようもないからね。学校も廃校になっちゃった。ハッハッハッ!
すみません、区長。
どうしたの?
なんで暗い話ばっかりするんですか。僕、佐賀県をアピールしに来てるのに仕事にならない!
あ、そうなの? でも仕方ないよねぇ。だってさ、九州にはまず福岡があるでしょ。大分には別府があるでしょ。熊本には阿蘇山があって長崎には出島があって…佐賀にはなんかあったっけ?
ちょっと! 区長がそれを言わないでくださいよ。もっとアピールしてもらわないと!
ほら、『葉隠(はがくれ)』ってあるでしょ?
はい。「武士道とは、死ぬことと見つけたり」ってやつですよね。
そうそう。あれはもともと佐賀を治めていた鍋島藩の教えなんだよね。で、『葉隠』の名前のとおり「あんまり出しゃばるな」「自慢しちゃダメ」っていう教えを受けてきたもんだから、佐賀の人はあんまり自分たちを「すごいぞー!」って言いたがらないのよ。
おーそうなんだ。
だから、いつまで経っても佐賀の人はアピールするのが下手なんだと思う。
それはともかく、もう少しがんばってくださいよ…!
仕方ないなぁ。じゃあ、島をぐるっと案内するよ!
そんな区長さんに案内していただいたのが、もともと小学校だったこちらの廃校。
現在ではイベントスペースなど多目的に使われているらしい。
いやー。こういう言い方をすると不適切かもしれませんが、すごくいい雰囲気ですね。ノスタルジックと言いますか。ここを改造して宿泊施設にしちゃえば、めちゃめちゃ人気出そう。僕もここに泊まれるなら泊まりたいですもん。
それがね、学校っていうのは文部科学省の管轄だから、そう簡単に宿泊施設に転用できないんだよね。
そうなのか…もったいないな…。
まぁ、今ここは私が管理していて、お茶会したり映画見たりとか、そういったイベントスペースとして使ってるんだよ。
そういえば、すごい数のおひな様が飾ってありますね。
今はひな祭りの時期だからね。こうやって毎年ちゃんと飾って、島の人に「見においでー」って呼びかけると、みんな来るから。そこで「元気してたか?」なんて話を島民同士でやるのさ。おじいちゃんおばあちゃんだから、こういうのでもないと家から出ないんだよ。
続いては、島で唯一の神社・住吉神社。
ここ、めちゃくちゃいい所ですね。海が目の前だし。
そうでしょ? お祭りの時期は屋台なんかも出るよ。
でも、もうあちこち傷んでいてね。少しずつ手入れしてるんだよ。
この神社、なんか色合いがカラフルですね。どこかしら中国のお寺っぽい。
うん。かわいい色にしようと思って、私がお願いして叔父が塗ったの。
自分たちで塗ったんかい!
お祭りで使う獅子舞(?)的なものも区長が自ら修理したらしい。
移動中に、何やら大きな玉(?)が木にぶら下がっているのを発見。
これ何ですか?
あぁ、これね。この辺は落石が危ないから、海岸に流れ着いたブイを拾って「落石注意!」って書いて吊るしておくのよ。
へーー。さっきから学校を管理したり神社を修理したり、区長の仕事って実はめちゃくちゃ多くないですか?
まぁ全部よね、全部。街灯が切れたって呼ばれることもあるし、遊歩道の掃除とかもね。結局誰かがやらなきゃいけないことでしょ。
ちなみに、いやらしい話ですがそれで区長のお給料っておいくらなんですか?
月に5万円だよ。
何それ! 安っ!
安いでしょ。しかも、燃料費とかも全部込みで5万円だからね。街のほうで会合とかがあったら顔出さなきゃいけないでしょ? その交通費やらで全部なくなるよね。
区長ってほぼボランティアみたいなものなんですね…。
そうそう。私はね、若いときは大阪の製薬会社で働いていたんだけど、やっぱりこの島のために何かしてやりたいと思ってね。それで戻ってきたんだよ。だから、島のためにできることはなんでもやろうと思ってる。
神功皇后が軍議をしたといわれる島の高台から見た港の様子。
いやーいいところだと思います。本土からもすぐだし、やりようによっては観光客とか呼び込める気がするんですよね。
でも、旅館とか民宿は全部廃業しちゃったから、観光客が来ても泊まる場所がないんだよね。食事する所もないし。
ちょっと! それじゃあ「遊びに来てね!」って言えないじゃないですか! さっきの廃校や神社もそうですけど、写真撮るのが好きな人とか絶対来たがると思いますよ。
まぁ、私に連絡くれればその辺はなんとかするよ。公民館とかは安く使えるし。
ゆるいな…そんな感じでいいのか…! じゃあ、本当に区長の連絡先を記事に書いておきますよ?
うん、全然構わないよ。「○月○日に○人で遊びに行きたいんですけど~」って言ってもらえれば、泊まる所や食事はまぁなんとかできるし、島の案内も私がしますよ。
マジか!
そんなわけで、この神集島に興味のある方は、こちらのFacebookページで情報収集してみてはいかがでしょうか。
食イベントと融合した映画上映会をはじめ、区長さんもいろんなことにチャレンジしていらっしゃるので、「行ってみたい!」って方はぜひアポイントを取ってみてください!
2人目:地元駅でがんばるアイデア駅長
続いてやってきたのは、JR多良(たら)駅。
こちらの駅の周辺は「竹崎かに」やカキの名産地。海の幸を食べにくるついでに遊びに来てもいいかもしれない。
そして、こちらが駅長の西田辰実さん。なんでも地元を盛り上げるためにがんばっているらしい。
これは「幸せの鐘」なんですよ。ほら。多良駅って、“良いことが多い”って書くでしょう? だから、この鐘を鳴らすとご利益がありますよって。私が提案して設置したんですよ。
へー。その割に年季が入ってるように見えますね!
この鐘自体は明治初期からあるもので、昔の小学校で始業時間などを知らせるために使われていたんです。展示していた歴史資料館に交渉して、譲り受けて駅に設置しました。
それで結構お客さんが来るもんですか?
そうですね。カップルとか、あとは鉄道好きな方たちなんかにね、この鐘を鳴らしに来ていただいてますよ。
こういうことまで駅長さんが考えるんですね。
そうそう。もう地元のためなら何でもやりますよ!
さっきも同じようなセリフを聞いた気がする。
たとえば、このベンチも私が塗ったし、
向こうのカニの看板もね。お願いして設置してもらいました。
あと、これは樹齢200年の立派な木で、よく見ると3本の幹がガッシリと組み合わさってるんですね。それを夫婦と子どもに見立てて「縁結びの木」と名付けました。
なるほど。こういうのも駅長の仕事なんですね。
そうです。駅の利用者を増やそうと思ったら、地域おこしが一番なんですよ。その地域を盛り上げて、たくさんの人が来るようになれば、駅の利用者も増えるっていうね。
私がこの多良駅に来る前に佐世保駅にいた頃は、佐世保バーガーを全国に売り込みましたし、有田駅にいた頃は「有田焼カレー」を商品化しました。「有田焼カレー」は九州の駅弁グランプリを取って、見事に名物になりましたからね。名物があれば人に来ていただけるんですよ。
そんな西田さんは、駅を訪れた希望者には短歌をプレゼントしているそうだ。
こんなのまで作るんだ…!
駅は人と人をつなぐ場所ですから。その出会いに感謝の気持ちを込めて書くんですよ。私もね、JRに入って九州のいろんなところに行きましたけども、もう定年も近いしね。最後くらいは地元の役に立ちたいってお願いして、この多良駅の駅長にしていただいたので、やっぱり何かしてなきゃ落ち着かないんですよね。
ちなみに、多良駅は福岡と長崎を結ぶJR長崎本線の駅。特急「かもめ」の停車駅でもある。
希望者には、駅長の西田さん直々に駅周辺を案内してくれるそうなので、「竹崎かに」やカキを食べに来るついでにオファーしてみてはいかがでしょうか?
3人目 佐賀県知事
そして、佐賀県で最後にお話を聞いたのがこちらのおじさんです!
え…? 誰…?
ちょっと! 県知事ですよ、佐賀県の山口知事!! 超多忙のところ、10分だけということで時間をいただいたんですから頼みますよ…! ※編集担当:杉山
知事か! そこらへんの酒好きのオッサンかと思った。
佐賀県知事 山口祥義(よしのり)
佐賀県出身の両親を持ち埼玉県で育つ。
ラ・サール高校を経て、東京大学法学部卒。
大学卒業後は自治省、鳥取県財政課長、長崎県総務部長、東京大学教授などを経て、2015年1月より現職。
いや、だって日本酒抱えて足湯に入ってるおじさんを誰も県知事とは思わないでしょ。
なかなか言うねぇ。
まぁ今日はね、ざっくばらんにおいしいお酒でも飲みながら話したほうが気楽でいいかなと思って。
おっ! 恐縮です!
えっ、何これ!? めちゃくちゃおいしい!
だよね。これは佐賀県が誇るお酒だから。
うわーすごい! お世辞抜きで、過去に飲んだ日本酒のなかで一番おいしいかも!
そりゃあそうよ。これは「インターナショナルワインチャレンジ」っていう世界最大規模のお酒の大会で、世界一の“チャンピオン・サケ”に選ばれた「鍋島」の大吟醸だからね。
僕、日本酒って苦手で普段は全然飲まないんですけど、これならめっちゃ飲めますね。なんか、大学生時代とかに居酒屋で飲んでたものが全然おいしくなかったから、それで苦手なイメージがあったんだよな…。
こういう本当においしいお酒が入口なら、みんな苦手イメージを持たないんだろうけどね。佐賀はお酒もおいしいから!
酔っ払ったついでに、県知事にいろいろ聞いてみよう
グイグイ飲み始めた県知事。テンションがやたら高い。
僕ね、今回は佐賀県のPR事業でお邪魔してるんですが、世間的には佐賀って「何もないところ」みたいなイメージがあるじゃないですか。
えーーー! そんなイメージあるの!?
ええ、ありますよ。
でもそれって、はなわの歌でしょ? ネタなんだから本気にしないでね。
そうそう。あの歌の影響はマジでデカいと思います。
まぁね。今後は彼も佐賀県のPRをポジティブにがんばってくれるっていうことで、今までのネガティブなイメージを払拭していきたいと思っているんだ。
最近の佐賀県って、ゲームの「スプラトゥーン」とコラボした「サガケーン」とか、「ロマンシングサガ」とコラボした「ロマンシング佐賀」とか、結構とがった事業で話題になってますけど、あれは知事の好みなんですか? それとも、観光担当にゲーム好きがいるとか?
僕は「何でもいいから好きにやれ」って言ってるの。もともと佐賀県って『葉隠』の精神もあって、教育熱心な県なのね。道徳感もしっかりしていて、愚直で真面目なのはいいんだけれど、もう少しシャレっ気があってもいいかなと。『蘭心竹生』って言葉があるんだけど、佐賀県民は、“竹のように真っ直ぐに生きる”」のは、得意なので、そこに『蘭心』、“蘭のようにあでやかな心”を持っての演出が加わるとかなり良くなると思ってる。
なるほど。
あと、実は佐賀県出身者にはデザイナーとかクリエイティブ系の著名人が多いんだよ。
有田焼とかの影響なんですかね?
自然にしろ有田焼などの伝統工芸品にしろ、“本物”を見ているからね。感性が豊かに育つんだと思うよ。ヨッピーも佐賀に住めばいいじゃん。
僕、まったくデザイナーじゃないんですけど。
でも、インターネットでクリエイティブな仕事をしてるんでしょ? インターネットならどこだって一緒じゃない?
いやー、それがそうでもないんですよ。僕は企業の広報に絡む記事を書くことも多いんで、やっぱり東京が中心になっちゃうんですよね…。
空港の近くに住めば、東京まで約1時間40分だからすぐだよ。
うーん…。
時を忘れて食事も話もどんどん進む
嬉野温泉名物「温泉湯豆腐」を食べながら、話はとりとめなく続きます。
ふーーむ、知事のお仕事って忙しいんですか?
そうだね。プライベートな時間なんて一切ないよ。
土日も?
むしろ土日のほうがイベントや会合が多いからね。スケジュールは15分刻みで全部埋まってるし、知事って意外と大変だよ。僕が「それはやる」とか「それはやらない」って判断して、あとは秘書が合間を縫ってスケジュールを組んでくれる。
自分が好きなことなんて何にもできない! 体壊したら迷惑がかかるから睡眠時間は取るようにしてるけど、それでも5~6時間かなぁ。
マジか…。そんな仕事絶対やりたくないな…。
僕は、選挙の1カ月前に全然時間もないのに、いきなり「出ます!」って手を挙げてね。それで当選させていただいたから、県民の方々には「絶対に恩返しをしなくちゃ」って思っているんですよ。佐賀県民は本当にいい人たちですよ。
僕、山口知事もそうだし過去にお会いした市長さんたちも「政治家の人って意外にみんないい人だなー」って思ってるんですが、なんで政治家ってイメージ悪いんですかね?
まずね、悪い人たちはそもそもヨッピーの企画に乗らないと思うよ。
それはわかる気がする。
山口知事はインターネットで何か意見を言うことはしないんですか?
「佐賀さいこう!」っていうPR動画に出演したり、日々の動きをFacebookページで伝えたりといった発信はしてるけど、ウェブで議論とかはしないことにしてる。
やればいいじゃないですか。
僕は会って話したい、”オフ会先行派”。インターネットで議論してるだけだと平行線で終わりがちで、思いが正しく伝わらない。面と向かって話すことで、お互いの言い分を誤解なく伝え合いたいと思っているんだよ。
なるほど。オフ会派なんですね。
そう! オフ会ならバンバンやっていきたいね。
じゃあ、もしも学生団体とかが「知事と飲みたい」って思ったら、来てくれるんですか?
うん行くよ、全然。実際、学生さんたちと飲んだりもしているし。
昨年から、佐賀にゆかりや関心のある20代~30代の若い人たちが集う「Re:サガミーティング」というイベントを東京・大阪・名古屋・福岡で開いていて、そこでテーブル全部まわってお酌して全員と話したりね。
へー!
そういう機会にお会いできればとも思うし、もちろんスケジュールの都合もあるけど、呼んでくれればできる限り行きますよ。オフ会やりましょう。
本当は10分だけの予定が、結局1時間もいただいてしまいました。辺りはもう真っ暗。
別れ際に「今度また飲もうよ」と、山口知事から連絡先を聞かれる僕。
「まぁ、どうせポーズでしょ?」くらいに思ってたら、次の日に知事から携帯にメッセージが来てビビりました。
これでまた佐賀県に行く理由ができてしまった。上手く乗せられてるのかもしれない。
そんなわけで今回のプロモーションのシメは、県知事に語っていただきました。
神集島の区長と多良駅の駅長、そして佐賀県知事と3人の佐賀にゆかりある方たちにお会いしましたが、確かに単純に観光地を巡るのではなく、その土地の人とこうやっていろいろとお話をすると“深み”みたいなものが増すことは間違いないですね。
みなさんも佐賀県へ行く際はこのシステムを利用して、旅先でいろんな人にお話しを聞くのが楽しいと思います!
●「抱く県、佐賀 ~SAGA MONOGATARI~」公式サイト
●LINEアカウント 「抱く県、佐賀(ID:@i-daku-saga)」
(おしまい)
執筆:ヨッピー/編集:杉山大祐(ノオト)/企画・制作:有限会社ノオト