原始人はなぜハゲない？-ナチュラリスト・ナチュ美のスッピン原論
くさくさエリコちゃん
髪や顔を洗うことをやめ、臭くなったOL。
ミカ先輩
髪も顔も洗っているので臭くないOL。
良記事の精
良い記事にだけ現れると言われるネットの精霊。探してみよう！
クンクン・・・あれ・・・？
なんかサイの死体みたいなにおいがしない？
どうしたんですか先輩？
何をそんな眉間にしわ寄せてるんですか？
く、くっせ～～～～！！！！！！
どうしたのエリコちゃん・・・？
なんかその・・・雰囲気が変わったというか・・・
ああ、やっぱ分かります？私、シャンプーや化粧品その他化学的なボディケア製品の使用をいっさい止めたんです！
思えば人間の肌にはもともと自然治癒力が備わっているのにわざわざ化学物質でダメージを与えるなんてどうかしてました
いや・・・そういうのが体に合う人もいるかもしれないけど
あんた何ていうか、その臭いが・・・
そうです、何の薬品も使っていないから女子本来の匂い・・・女臭（じょしゅう）が香り立ってるんですね！
あの、すごく失礼なことを聞くけど
ちゃんと歯磨いてる？
磨いてないですよ！！
磨いてないですよ！！
グワァー！臭さのプリマヴェーラや～！
ははぁ～ん、さては先輩カリスマナチュラリスト・ナチュ美（み）さんの本を読んでないんですか？
ナチュラリスト・ナチュ美（み）の四原則
・全て薬品は体に残留し、毒をもたらすものと心得よ
・洗顔料を使わなければ誰でもスッピン美人！
・シャンプーは頭皮の必要な油を奪い、逆に毒を残す
・歯を磨いてはいけない、磨けば磨くほど虫歯になる
このとおり、誇大広告に煽られて化学薬品を買い自らの体を傷つける悪循環を抜け出せばナチュラル美人になれるんです！
でも現代人は髪を染めたり化粧するわけだし・・・
それに最低でも歯は磨かないとさ・・・
ハァ～先輩、分かってないなあ・・・
ハァ～先輩、分かってないなあ・・・
悪臭の5.1chサラウンドや～！
エリコのナチュラリスト講座
いいですか先輩・・・
シャンプーが髪にとっていいものなら、どうしてシャンプーしない原始人より現代人のほうがハゲてるんですか？
歯を磨くのがいいことなら、どうして人間は虫歯に苦しみ、磨かない野生のライオンは虫歯にならないんですか？
そう・・・私たちは自分で勝手に自分の体を傷つけているだけなんです！
原始人もハゲるんじゃないの？
え？
というかそもそも、ハゲてる原始人以前にハゲてない原始人も見たことなくない？
まあそうですね
でも先輩・・・
「ハゲてる原始人」ってイメージできますか？
ハゲてる原始人・・・
わりとできる
私も
じゃあ先輩、虫歯はどうです？
動物も砂糖を摂れば虫歯になるわよ、
普通は食べないだけで。
だからペットに甘いモノを与えちゃだめとか聞いたことない？
ありゃ～
エリコちゃん・・・
多分あなた、騙されてるわよ。
とりあえず、歯を磨いて髪を洗ってきてくれるかな。
さっきからノミが飛んでくるのよこっちに。
はい！
くさみのオムニバスストーリーや～！
愚民マーケティング
はあ、どうして私ってなんでも騙されちゃうんだろ・・・
待って、エリコちゃん。
そう自分をバカだのクズだのと責めてはだめ・・・
人間はたとえ賢くても、条件が揃えばありえないようなこじつけや言説を信じてしまうときがある・・・
どうしてですか？
エリコちゃんには「支持率56%の王様」の話を教えてあげるわ・・・
ある貧しい小国に賢い王様がいた。国は貧しく地理条件も悪かったが、王様の工夫で幾度の飢饉を乗り越えてきた。
しかし、続く空腹のせいで国民は怒りのやり場を失い「自分たちが貧しいのは王が私腹を肥やしているからだ」と騒ぎ始めた。
このままでは王様は失脚し、一方的な裁判のもとにギロチン刑も免れない・・・
そこで王様が目をつけたのは国の人口分布だった。
国の民族は大きく７割と残り３割に分けられる。
王様は「国が貧しいのは３割の少数派民族のせいだ」と７割の民衆を扇動した。もちろん嘘だけど・・・
しかし、続く飢饉と労働の苦労で正常な判断力を失った国民には、手頃なスケープゴートが必要だった。
７割のマジョリティのうちのさらに２割は賢明にこの言説を否定したが、残り８割の愚民は肯定した。
これによって王様は７割かけるの８割・・・つまり56％の支持を得て国を治め続けることになった。
そして、苦しいながらも存続していた小国は内紛のすえに滅亡してしまった・・・
どういう話でい
これがつまるところ人間の本質なの。
人間は解決困難で複雑な真実より、どうみても嘘であっても「こうすれば解決する」という単純な解答が欲しいのよ。
だから、「７割以上のマジョリティに属する８割の愚民」に向けてそういった嘘をつけば過半数の支持が得られるの。
うーん、ちょっと意味がわからないですね。
原始人はなぜハゲない？
エリコちゃんが騙された「動物は虫歯にならない」や「ハゲの原始人はいない」も巧妙な例え話ね。
「誰もいない森で木が倒れた。倒れるときに音は鳴ったか？」という質問を知っている？
知らないけど鳴りますね
まあ鳴るんだけど、聞いている人がいない以上はそれは鳴ってないも同然なのよね。
現代人は原始人を見ることができないから、たとえ原始人がどれだけハゲようともハゲがいるとは思わない。
それはつまり、原始人はハゲないというのと同じことなのよ。
それで私は騙されてしまったんですね。
虫歯のライオンも、ハゲた原始人もはっきり言って自分と関係ないしどうでもいいものでしょ？
そして人は「自分が属してないどうでもいいもの」に対してこっそり偏見を与えられると信じてしまうものなのよ。
虚を突かれてしまうんですね
さっきの話で、
王様が「悪いのは○○民族だ」と言ったのも同じ。
よく考えれば分かる嘘であっても、人々の救いがほしい、単純な結論がほしいという需要に合致すれば広まってしまうの。
人間って愚かですね
こういうふうに、単純な二元論的なストーリーを作って大衆の支持を得るというのはいつの時代も有効な手段よ。
世の中何が善で何が悪かわからない、グレーだらけ・・・
それはある種唯一たしかな真実よ。
でもそれじゃややこしい！○○は善、××は悪！
よって××滅ぶべし！
こういうふうに簡略化されたものさしを提示すれば思考停止したい愚民が群がる・・・
その悪役がたとえばテクノロジーだった場合に、エリコちゃんの信じた歯磨き否定論が生まれるの。
ためになるなあ～
もちろん、行き過ぎた広告によって人々が戸惑い、不要なものを買わされている事実は否めない・・・
しかし医療は？ライフラインは？テクノロジーがどれだけの人を救い、そして今日支えているかを考えたことがある？
「テクノロジーの力で生きながらテクノロジーを非難するのは、生んで貰った親に悪態をつくのと同じことである。」とは夏目漱石の談よ。
へえーそうなんだ。
夏目漱石ってハイカラだったんですね。
確かに、私たちはあって当たり前のテクノロジーに甘えていたのかもしれない・・・
そうよエリコちゃん。
だからこそ、私たち一人ひとりが・・・
一人ひとりが、最新のテクノロジーを駆使した
水素水をガブガブ飲んで健康になろう！
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