リツイートされやすいツイートの考察(1)「見間違い」

○○だと思ったら××だった。
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こんにちは、インターネット文化人類学者のセブ山です。人類がインターネットで織り成す「文化」を研究しております。

そんな私は先日、こういったツイートを投稿しました。

電車で見かけた吊り広告が、どことなくお笑いコンビの「オードリー」さんに似ていたので、思わず投稿してしまったツイートです。

何気なく投稿したものでしたが、約2900RTされるくらいウケました。

 

このツイートがウケたことにより、ふと思ったのですが、もしかしたらこの「見間違い」はTwitterでウケる要素の1つなのではないでしょうか?

そこで、過去にTwitterでウケていたネタツイートの中から「見間違い」カテゴリーと思われるものを抽出してみました。それが次のツイートです。

約7600RT

 

約1万9000RT

 

約2万8000RT

 

約5万6000RT

 

約7万3000RT

 

いかがでしょうか? このように、「見間違い」ジャンルのツイートは爆発的にウケていることがわかります。

また、多少の表現の差はありますが、ほぼすべてが「○○だと思ったら××だった」というフォーマットです。

ここから私は、「○○だと思ったら××だった」という形式に当てはめてツイートすれば、誰でも簡単にTwitterでウケることができる…という仮説を立てました。

 

しかしながら、これはまだあくまで「仮説」です。

学問の世界では、仮説を証明するためには「真逆のアプローチ」が大切。そこで私は、このようなツイートも投稿してみました。

「○○だと思ったら××だった」というフォーマットに沿ってはいるものの、いったい何を指しているのかがわからない、意味不明なツイートです。

もちろん「マッソコポーン」も「NN-600」も存在しない架空の言葉ですし、添付されている写真も、何の変哲もない道路の写真です。

当然のように、このツイートが拡散されることはありませんでした。

そんなの当たり前じゃないかと思われるかもしれませんが、このツイートが拡散されなかったことにより、いくら「○○だと思ったら××だった」というフォーマットに沿っていても、そこに理解や共感がなければ、拡散されないということが証明できました。

 

それでは、いよいよ実験の最終段階です。

「〇〇だと思ったら××だった」というフォーマットに当てはめつつ、しっかり「あぁ、わかる」「確かに」と共感も得られるツイートをしたら、どうなるのでしょうか?

私の理論が正しければ、そのツイートはウケるはずですが、果たして…

 

どうだーーー!!! ウケたぞーーーーー!!!!

「伊右衛門(いえもん)だと思ったらパチモンだった」というこのツイートは、「ホントだ!」「私も見間違えた!」という共感を得て、約5000RTされました。

これは十分、Twitterでウケたと認定していい数値でしょう。

よっしゃーーーー!!! やったぞーーーー!!!

Twitterでウケる方法が、ひとつ証明された!!!

 

しかし、学問の世界は奥深いもので、1つの問題が解決すると、また別の問題が発生します。

それは「なぜ“伊右衛門ツイート”は5000RTで止まってしまったのか?」という疑問です。

先ほどの“伊右衛門ツイート”もウケたとはいえ、約5000RTにとどまり、1万RTの壁を超えることはできませんでした。

見間違いツイートの中には1万RTどころか、5万RT、7万RTものリツイート数を叩き出す投稿もあるのに、どうして私のツイートは5000RT止まりだったのでしょうか? この差は、いったい何なのでしょうか?

ここでもう一度、冒頭でお見せしたレジェンド級のリツイート数を誇るツイートたちを見てみましょう。

約1万9000RT

 

約5万6000RT

 

約7万3000RT

 

何かに気付きませんか?

私の“伊右衛門ツイート”とは、圧倒的に違うもの…

 

それは、衝撃度です。

 

ピンと来ない方も「意外性」や「ギャップ」と言うとご理解いただけるのではないでしょうか。

ここまでずっと「〇〇だと思ったら××だった」というフォーマットの大切さを説いてきました。しかし、それはツイートがウケるかどうかに関わっている1つの要素。上記の3つのケースから、ウケた後にどこまでリツイート数が伸びるのかは、その衝撃度にかかっていると推測できます。

つまり、衝撃度が高ければ高いほど、リツイート数も伸びるということです。

「○○だと思ったら」というフリから、いかに振り幅が大きく「××だった」に着地できるかが重要。

「まさか木漏れ日が犬に見えるなんて!」「ただマネキンと花が飾ってあるだけなのに猟奇的な事件現場に見えるなんてすごい!」という振れ幅の大きさや衝撃度が、リツイート数を大きく左右することが見て取れます。

 

というわけで、今回の検証でわかったことのおさらいです。

 

●「見間違い」はTwitterでウケるジャンルの1つ。

●「○○だと思ったら××だった」というフォーマットが大切。

●しかし、そこに「共感」する要素がないとウケない。

●リツイート数は意外性やギャップなどの「衝撃度」の大きさに応じて増加する。

 

ツイートがウケるかどうかは、フォロワー数には関係しません。

もちろん、フォロワー数がゼロや1桁では厳しいかもしれませんが、Twitterでウケることに関しては、フォロワー数はさほど重要ではないのです。

Twitterで人気者なりたい学生諸君や、SNSで自社製品を宣伝したい広報担当の方々は、ぜひ参考にしてみてください。

 

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※記事中のリツイート数はすべて、2月23日時点のものです

 

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