「なんもしない人(ぼく)を貸し出します」…「レンタルなんもしない人」が自分を貸し出す理由を聞いてみた

これからもおもしろい依頼がくることを期待
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 6月3日、 Twitterにこんなツイートが彗星のごとく現れた。

 『レンタルなんもしない人(@morimotoshoji)』は人数合わせや場所取りなど、人間一人分の存在だけがあれば成立する依頼を受けてくれるのだそう。しかも費用はJR国分寺駅(東京)からの交通費と飲食代(必要な場合)のみ。

   上記のツイートは活動開始から3日後には約1万RTされた。すでに依頼も多数来ており「風船を持つ」「おいしいラーメンを食べる」「パチンコ屋の開店待ちに並ぶ」などの任務をこなした様子をツイートしている。

   「なんもしない」ことに関しては明確にポリシーがあるようで「服装を工夫するなどはできない」「乗り物の運転は絶対にしない」など断言しているが、いっぽうで「拘束時間は気分次第」と掴めない部分もある。謎に包まれたその実態に迫るため、取材を試みた。

「自分はなんもしないことに向いているな」と気づいた

ーー今までは何をされていましたか?そして『レンタル何もしない人』を始めた理由は?

対外的にはライターとか、教材の執筆者もしくは編集者とか言って過ごしていましたが、しんどい依頼を断りまくってたらだんだんなんもしてない感じになっていきました。

その後は思いついたことを毎日ブログに書いて過ごしてましたが、子供が生まれるなど人生の重大イベントが起きるたびに途切れて、またなんもしてない感じになっていきました。

そのあたりで「自分はなんもしないことに向いているな」と気づきつつありまして、その状況でたまたまプロ奢ラレヤー(※)さんという人の存在を知って、「この人の生き方をパクれたらな」と思い、パクりました。レンタルなんもしない人はプロ奢ラレヤーのパクリです。

※プロ奢ラレヤー:0円ラボ編集長、中島太一さん(@taichinakaj)。SNS経由で食費や宿泊費などを奢ってもらい生活している。

「食事や宿泊費をもらえるものは、死の恐怖を遠ざけてくれる」

ーーパチンコ屋に並ぶのは大変そうでしたが、今後受けてみたい依頼は?

基本なんもしないでいいならなんでもやってみたいです。ただ、かなり飽きやすいので、似たようなのが多いとお断りして、より面白いものを求めてしまうかもしれません。でも人と直接会って話を聞くのはなかなか飽きなさそうなので今後も受けていきたいし、よくわかりません。

あと普通に、食事や宿泊費をもらえるものは、死の恐怖を遠ざけてくれて、よりなんもせんでよくなる感じがして嬉しいです。海外からの依頼も1回くらい来ないかなと淡い期待をもってます。

ちなみにパチンコ屋に並ぶのはパチンコ屋的に良くないことと知ったので二度としないです。並ぶ系はどれもそういう要素を含みそうなので無くしていく方針です。

ーーいつまで続ける予定ですか?

まったく決めてないです。飽きないかぎり続けるし、飽きたら突然やめると思います。あと当たり前のことですが、本人が死んだら強制的に終わってしまうので、続いてほしいと思った人は、なるべく生かそう生かそうとしてもらえればと思います。


 「なんもしたくない」とのことだったのでノーコメントで返ってくるかもしれないと恐る恐る質問したが、とても丁寧に答えていただけた。なんとなく『レンタルなんもしない人』の卓越した人生観が垣間見えたような印象を受けた。

 依頼はTwitterのDMで受け付けているが、断る場合は全員に対して失礼な書き方になるそう。

 これならかえって気軽に依頼できそうだ。何かやってもらいたいことがある人は連絡してみてはいかがだろうか。

※この記事のツイートはレンタルなんもしない人(@morimotoshoji)さんの許可をいただいて掲載しました。