大手匿名掲示板やSNSで叩かれるのは、芸能人などの有名人だけだと思いがちですが、実際は一般人でも叩かれる可能性があるようです。今回、大手匿名掲示板で叩かれた経験があるという、イラストレーターのAさんにお話を伺うことができました。

長時間のインタビューに答えてくれたAさん

叩かれた理由は?叩いていた相手は誰だったのか?

――叩かれているということを知ったきっかけは?

 

自分はイラストレーターを職業としているのですが、イラストレーターとしての自分の名前を検索したことがきっかけです。そうしたら、某大手匿名掲示板の漫画投稿サイトのスレに、自分の名前があったのです。そこで自分が叩かれていることを初めて知りました。

――叩かれている原因はなんでしたか。

 

自分は、誰でも漫画作品を投稿できるサイトに趣味で投稿していて、サイトの人気ランキングでは常に上位に入っていたんです。ただ、漫画の内容は、自分で今読み返してみると本当に稚拙でしたね。

漫画の基本的なルール(右から左へ読むなど)すら守っていませんでしたし、一つの作品として投稿しているのに、回によってはギャグになったり、ホラーになったりと、やり放題だったので。

サイトの人気ランキングで上位に入れていたのは、気軽に読めるからだったと思います。ただ、真剣に漫画家を目指している人、しっかりとしたストーリー作品を読みたい人からしてみれば、悪目立ちしているだけの存在だったのでしょうね。

――どのような内容で、どれくらいの期間叩かれていましたか。


 

スレを読んでみたら「ゴミみたいな落書きで上位に入っていい気になっている」「自称イラストレーターだかなんだか知らないが、迷惑な存在」といった感じで、過去スレも含めて、三ヶ月ぐらいに渡ってボロクソに叩かれていました⋯。

自分が叩かれているだけならまだよかったのですが、漫画にコメントしてくれている自分のネット上の知人たちまで、「あんなゴミを応援するカスども」のように叩かれてしまっていました。自分はサイトでもイラストレーターだと名乗り、仕事と同じ名前を使っていたのが失敗の元でした。

「Aさん叩き」はおよそ3ヶ月ほど続いた

――それはひどいですね。どんな人間が叩いているのかは、予想がつきましたか。

 

正直、わからなかったです。ID(書き込みの日付の最後に自動的につく文字列)もないスレで、同じ人が何回でも書き込める仕様だったので、何人ぐらいに叩かれているのかさえ、予想できなかったですね。

敵が見えなかったからこそ、自分の作品を応援してくれている人たちに迷惑をかけたくないという思いで、叩かれていることを知ってから、すぐに漫画投稿サイトから退会しました。

これで叩かれるのも終わる、と思っていたのですが、それは甘い考えでした⋯⋯。

漫画投稿サイトを退会したのに叩かれ続けた

――退会してからも、叩かれることが続いたんですね。

 

そうなんです。退会した直後、すぐに「Aが退会して逃亡!」とスレに書かれていました。退会したらしたで、「イラストレーターとして売れないから売名行為をするだけして逃げたクズ」「ここで叩かれていることを知ったから退会したのかかもしれないが、メンタルが弱すぎる」などと、約一ヶ月間は激しく叩かれることが続きました。

――そのことは誰かに相談しましたか。

 

相談はしていませんが、応援してくれていたネット上の知人から、突然退会したことを心配されたので、とくに親しい数人には、「匿名掲示板で激しく叩かれていた。応援してくれている人のことまで叩かれていたから、退会した」と、本当のことを伝えました。知人たちは皆、「気にしなくていいよ」「また作品を公開する日を待っているから」と優しく応えてくれました。

叩き飽きたスレの住民たち、叩かれて得られたこと

――それは不幸中の幸いでしたね。その後はどうなりましたか。

 

いつの間にか、叩くほうも叩き飽きたのか、ほかの話題に移っていました。次はほかのランキング上位の人で、悪目立ちしている人が叩かれる対象になっていましたね。

最初に叩かれてから数年間経過した今でも、たまにスレを見ることがありますが、もうさすがに一切、自分の話題は出ていないようです。

叩かれたこと自体はとてもつらい経験でしたが、得られたこともありました。

――得られたこととはどんなことでしょうか。

 

叩かれたことでかえってネット上の知人との絆が深まり、今でも親交を続けている相手もいます。これは自分にとって宝物です。

また、本業のイラストレーターとして同じ匿名掲示板や、ほかのサイトで叩かれたのですが、ボロクソに叩かれることを経験したせいか「これぐらいまだまだ軽い、あの時に比べたらなんともない」と思えるようになりましたね。

――叩かれたり炎上したりしで悩んでいる人へのアドバイスをお願いします。

 

今でもイラストレーターとしての自分の仕事についてネット上で叩かれることがありますが、たまたま見つけたもの以外には目を通していません。叩かれるだけ話題になっている、人気者の証拠だ、ぐらいに開き直ってしまってもいいのではないでしょうか。

ただ、個人情報を晒されたりする悪質な叩きは、もはや犯罪です。証拠を保存して、一人で悩まずしかるべき機関に相談したほうがいいと思います。

そこまでいかなくても、叩かれて落ち込むのは人間として当然といえば当然のことなので、信頼できる人に話を聞いてもらって、気分転換することも大事ではないかと。

開き直っているとはいえ、自分も家族や友人に、「またネットで叩かれちゃったよ」と愚痴って発散、ということもすることがありますしね。

とにかく、ネットで叩かれたり、炎上したりしたときは一人だけで問題を抱え込まないということが一番大切だと思います。

――貴重な経験談をありがとうございました。

Aさんはインタビューに明るくハキハキと答えてくれましたが、叩かれていた内容や、ネット上の友人に迷惑がかかった点などに話が及ぶと暗い表情を見せていました。

「ネット上で匿名の人間に悪口を言われる」ということは、悪口を言っている相手の素性や人数さえもわからない分、よけいに苦しんでしまう場合もあるようです。

近年では、匿名での中傷でも裁判沙汰になるケースも。被害者になることはもちろん、加害者にもならないように気をつけることが必要でしょう。

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ぱう美

ありとあらゆるオタクを経験してきた非モテ女。非モテなのに既婚者になれたことから、勝手に非モテの救世主と名乗っている。絵は画伯。