「ニコニコ静画」等のWeb漫画サイトで累計350万PVを記録、Twitter・Togetterで今話題になっている漫画『ヤンキー君と白杖ガール』をご存知だろうか。「最恐ヤンキー」と「弱視女子高生」カップルの恋愛ラブコメ作品だが、単にかわいい2人がイチャイチャしている漫画ではない。

Twitterユーザーからは「キャラ構成、話の展開、掲げているテーマ全部考えさせられる。それでいて面白い」「視覚障害者(の中のロービジョン)の描写がリアル」といった感想が多数あがっている。ラブコメがメインではあるが、登場人物たちを通じて障害に対する認識が更新されるようなドラマなのだ。

2019年1月23日には単行本第一巻がKADOKAWAから発売された。発売直後からはベテラン漫画家からも絶賛されており、期待が高まっている。

今回、作者のうおやま先生(@uoyamangamanga)から、本作を書いたきっかけなどについてお話を聞くことができたので、漫画のみどころとあわせて紹介していこう。

うおやま

弱視の女子高生とヤンキーのラブコメ『ヤンキー君と白杖ガール』ニコニコ漫画、pixiv、マンガハックで無料公開しています。 2019年1月23日コミックス発売! 別名義アカウント→児玉潤(

『ヤンキー君と白杖ガール』は2018年6月から「ニコニコ静画」「Pixiv」に、2018年7月から「マンガハック」に掲載開始した。商業誌では「少年マガジンエッジ」にて『アイ先生はわからない』(全3巻)『突姉っ!』(全2巻)を連載。

「早く世に出して読んでもらいたい」ナゾの衝動によりWebへ投稿


これまで商業誌で活動されていましたが、Web漫画サイトのみへの連載は初めてだったんですね。


この漫画を描きたいと思ったとき、「これはきっと面白い漫画になるので早く世に出して読んでもらいたい」という、ナゾの衝動があったんです(笑)。商業誌への掲載は、連載会議などを経るため掲載に時間がかかりボツになる可能性もあるので、誰でも投稿できるWebサイトに載せました。Webサイトではたくさんの方に読んでもらえてコメントもいただけるので、とても楽しいです。

障害者は特別な存在ではない


「ヤンキーと弱視の女子高生」という人物設定が注目されていますね。もしかして、身近に同じ状況の方がいらっしゃるのでしょうか?


白杖は使っていませんが、家族に弱視(正確にはロービジョン)(※)の者がおります。でも本人を「障害者」と思ったことはありませんでした。意識して思わないようにしているのではなく、頭にも浮かんだことがなかったのです。ただ目が見えにくいところがある、家族です。

でも、外で白杖を使っている方を見かけたとき「視覚障害者の方だ」と思った自分がいて、この気持ちの違いに自分でも戸惑いました。

きっと身近に目の不自由な方がいない大半の人々も、白杖を持った人を見かけると、壁を感じるというか、自分と同じ「人間」ではないように思ってしまうのではないだろうか…とその時に思いました。でも言葉を交わして接してみると、ガラリと印象は変わるはずなんです。

「ユキコ」という弱視の女の子を通じて「障害者」が特別な人間ではなく、読者と同じ人間で「あたりまえ」の存在だと感じてほしいと思い、この漫画を描き始めました。

▼「ヤンキー君」黒川森生(18)と「白杖ガール」赤座ユキコ(16)の出会い。白杖、刺さってるんですが…。

マンガハック」掲載第1話「出会い」より

(※)「弱視」と「ロービジョン」の違いについて

弱視は医学用語で「医学的弱視」と「社会的弱視」に分けられます。医学的弱視とは幼い頃に適切な刺激を受け取ることができなかったために生じた弱視で、社会的弱視とは病気やケガなどにより生じた回復困難な視力障害のことをいい、盲や弱視を含めてロービジョンともいわれます。 (参考:日本眼科学会


読者からは視覚障害者の方の描写が細かいと評判です。取材などはどのようにされていましたか。


自分の日常で感じてきたことと、視覚障害の方に関する本やドキュメンタリーを読んだり観たりしたことを参考にさせていただいてます。連載が進む中で、Twitterで見かけた弱視の方の体験談にも触れ、いろいろ考えさせられ話のテーマにさせていただくこともありました。

もし晴眼者の方が気づかない視点を描けているとすれば、やはり弱視の者が身近におりますので、日常生活の視点が「見えにくいのが普通」となっているのかもしれません。セルフレジの回は、実際に自分がそういう視点でセルフレジを見て感じたことが、描くきっかけになっています。

▼「セルフ(前編)」では森生がレンタルビデオ店のセルフレジを見つけたことから始まり、店の立場や高齢者の立場など、あらゆる視点が描かれている。

▶(次ページ)障害者へのタブーに踏み込んだあのシーンについて

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