なかなか手に入らないレア野菜「バターナッツかぼちゃ」を料理してみた(レシピあり)
「バターナッツかぼちゃ」という野菜をご存じだろうか。かぼちゃの一種で、その名の通り「バターのようになめらかで、ナッツのように甘い」のが特徴らしい。聞くからに美味しそうな野菜だ。
筆者は、Togetterでバターナッツかぼちゃのレシピがまとめられていたのを見て、その存在を知った。
めちゃくちゃ食べてみたい。しかし、スーパーで売ってるところを見たことがない。どこで手に入るんだろう?謎のレア野菜・バターナッツかぼちゃを調達し、料理してみたレポートを書く。
【調達編1】大手デパートでもレア野菜だった
バターナッツは、主に9月から11月にかけて出回るらしい。時期的にはドンピシャ(記事を書いたのは10月下旬頃)のはずだが、近所のスーパーでは一度も見たことがない。
「大きめのデパートの食料品売り場とかに行けばあるのかしら」と思い、渋谷の東急百貨店に行ってみた。すると野菜売り場で、それらしきものを1個だけ発見した。一般的なカボチャの中にぽつんと1個置かれていて、ラベルにも「カボチャ」としか書かれていない。多分これだと思うが、若干不安なので店員さんに確認した。
鈴木「これはバターナッツですか?」
店員「はい、バターナッツですね」
鈴木「本当ですか!在庫はほかにありますか?」
店員「すみません、それ1個だけです。なにぶん珍しい野菜なので、今後の入荷も未定です」
なるほど、百貨店をもってしてレア野菜らしい。てのひらより少し大きいサイズで1個500円ほどと、お値段も若干高めである。とりあえず、1個だけ購入してみた。
【調達編2】バターナッツかぼちゃの楽園は意外なところに
1個だけだと1品くらいしか料理を作れないので、できればたくさん手に入れたい。渋谷で1個ゲットしたあと、いろんなデパートやスーパーをまわってみたが、売ってる場所は見つからなかった。本当にレア野菜みたいだ。
さてどうしたものか。悩むうちに、1つの可能性に思い当たった。
「もしかして、メルカリで売ってないか」
私は過去に、メルカリでキャッサバを買ったことがある。メルカリでは、レアな野菜を個人栽培している方や業者が出品していることがあるのだ。さっそくバターナッツかぼちゃで検索をかけてみたところ…
「おおお!!!出品してる人いるいる!!!」
ビンゴ!バターナッツがまとまった量で売りに出されてるではないか。4kg2000円くらいからと、価格もリーズナブル。素晴らしい。
さっそく購入し、無事まとまった量のバターナッツを手に入れることができた。
4種の料理を作る
バターナッツかぼちゃの見た目は、ひょうたん型。カボチャの仲間とは思えないユニークで可愛らしい形をしているが、基本的な使い方は一般的なカボチャとそう変わらない。
今回は、togetterのまとめでも紹介されていた「スープ」と「グラタン」、オーソドックスな「煮物」、デザートに「ケーキ」の4種類作ることにした。
どれも普通のカボチャでおなじみのレシピだが、いったいどんな違いが生まれるのか。超楽しみである。
バターナッツかぼちゃ、めっちゃ料理しやすい
調理を始めてから、バターナッツかぼちゃが非常に料理しやすい野菜であることに驚いた。まず、皮がとても柔らかい。一般的なカボチャは、包丁の入れ方に順序があるくらい皮が堅いが、バターナッツの皮はピーラーでするする剥ける。皮をむかない状態で包丁を入れても、少し力を入れればストンと切れるくらい。
続いて、加熱が短時間で済む。バターナッツかぼちゃは一般的なカボチャに比べて含まれている水分が多く、ラップをして8分ほど(500w)加熱すれば、スプーンで果肉をサクサクすくえるほど柔らかくなる。茹でてもあっという間に火が通るので、大変楽だ。素晴らしい。
鮮やかな色の煮物
まずはオーソドックスな煮物から。
1、スープと同様、バターナッツ(1個)の皮をピーラーでむき、食べやすいサイズに切る
2、だし汁300cc、酒大さじ3、しょうゆ大さじ3、みりん大さじ3、砂糖適宜加えて、弱火で15分ほど煮れば完成!
バターナッツは火を通すと鮮やかなオレンジ色がいっそう濃くなるので、煮物にすると映える。アルミホイルで落し蓋をすると、より全体に火が通りやすくなった。
スープ
まずはスープから。
1、バターナッツ1個を半分に切り、種を取り出してからピーラーで皮をむく
2、皮をむいたバターナッツを乱切りにする
3、玉ねぎ1個を薄切りにする
4、2・3を鍋に入れ、水400~500mlくらいを加えて、バターナッツが柔らかくなるまで煮る(中火で15分くらい)
5、4をミキサー(フードプロセッサーでもいけた)に入れて、滑らかになるまで「かくはん」する
6、5を鍋に戻し入れ、牛乳400mlとコンソメ大さじ2杯くらいを加えて、沸騰直前くらいまで温めたら完成!
スープも、鮮やかな色がとても美しい。好みに合わせてコンソメの量を調整したり、牛乳を生クリームに変えたりしても大丈夫。
グラタンは皮の器で
メインディッシュのグラタンは、バターナッツをくりぬいた皮を器に使う、おしゃれな料理。
1、半分に切ったバターナッツ(種を除く)にラップをかけて、レンジで10分くらい(500w)温める。
目安はスプーンですくえるくらいの柔らかさ。部位に堅さに違いがあるので、1回でやわらかくなりきらなかったら、2回に分けて加熱してみると良い。
2、スプーンで果肉をすくって別の皿に取り出す。
皮は器として使うので、果肉をある程度残してくりぬくと安全。(果肉が残ったとしても、あとからグラタンと一緒にこそげながら食べられるので、この時点で「もったいないチキンレース」をしなくてもよい)
3、豚ひき肉200gくらいをフライパンで熱し、お肉に色がついてきたらバターナッツの果肉、玉ねぎ1個(荒いみじん切り)、マッシュルーム5個くらい(薄切り乱切りどちらでも)を入れて炒める。
マッシュルーム(と玉ねぎ)は好きなだけ入れていいと思う。参考にしたレシピには5個くらいと書いてあったが、私はマッシュルームが好きなので、15個くらい入れた。
4、玉ねぎが透き通ってきたら、薄力粉を大さじ2杯ふるい、全体を混ぜながら炒める
5、粉っぽさがなくなったところで、牛乳500cc(2カップ半)入れ加熱。沸騰したら超弱火でバターナッツが柔らかくなるまで煮る
6、バターナッツの皮に5を流し入れ、チーズを好きなだけのせて、180度に熱したオーブンで30分ほど焼く。
チーズにこんがり焼き色がついたら完成。
ケーキはビスケットの土台で作る
1、ビスケット50g(森永の「マリー」だと10枚くらい)を袋に入れて、めん棒などで細かく砕く
2、砕いたビスケットに、溶かしたバター30gくらいを混ぜて、全体になじむまでよくもみこむ
3、18cmのケーキ型に2を敷き詰め、フライ返しなどで底が均一になるようにペタペタと押し固める
※ここまでできたら、型を冷蔵庫で冷やす
4、グラタンの時と同じく、バターナッツ1/2個にラップをかけてレンチンし、果肉をスプーンですくっておく
今回は皮を使わないので、果肉全部をすくってしまって良い。このあと潰すことも考えて、かなり柔らかめに加熱すると扱いやすくなる。
5、4をボウルに入れてつぶし、砂糖50gを入れて混ぜる
6、4に卵1個と生クリーム150ccを加えて、全体がねっとりするまで練る
7、6を冷やしておいた型に流し入れ、200℃に熱したオーブンで40分~50分くらい焼いたら完成