甘酒が苦手な人間が「全国のいろんな甘酒」を飲み比べてみたら新しい世界が見えた
Togetterオリジナル記事編集部のふ凡社です。
突然だが、私は「甘酒」がちょっと苦手だ。
ドロッとした舌ざわり、輪郭があいまいな甘さ、飲んだあと喉に残る独特の酸味など、トータルであんまり好きなポイントがない。
しかし全く飲めないというわけではなく、むしろ2年に1回くらいふと「甘酒久しぶりに飲みたいな」と思うことがある。そして飲んでみて、「うーん、やっぱちょっと苦手だな」となるのを繰り返してきた。
この記事は、そんな私が全国のいろんな種類の甘酒を飲み比べてみたお話である。結論からいうと甘酒に対する新たな扉が開いたので、最後までお付き合いいただきたい。
きっかけは「おすすめの甘酒」を教えるムーブ
先日、社内チャットに以下の書き込みがあった。
最近、米麹の甘酒にハマっています。
美味しい米麹の甘酒の情報、もしご存知でしたら教えて下さい!
こちらを皮切りに、社内の甘酒ラバーたちから推しの甘酒情報が続々と寄せられた。
社内に甘酒愛好家がこんなにいることも、甘酒に「推し」があるほど種類があることも知らなかったので、かなり驚いた。
「甘酒愛好家の推し甘酒を飲めば、何か違った世界が見えるかもしれない」
そう思った私は、社内で特に推す声が多かった老舗の甘酒屋「天乃屋」の甘酒を飲んでみることにした。
お試し1杯のつもりが…
神田明神の近くに店舗を構えている天乃屋では、その場でコップ一杯飲める甘酒と、家で飲める持ち帰り用の甘酒のどちらも売っている。
コップ1杯300円、熱々の甘酒を買ってさっそく飲んでみた。
「ドロッとしてるのにスッキリしてる!癖もない!甘い!おいしい!!!」
天乃屋の甘酒は米と米麹だけで作られている。米粒がしっかりと残っていて、飲み口はずっしりとしているのだが、味はなんというか透き通る甘さなのだ。あつあつで、体にしみわたっていくかんじ。
あんまりに美味しいもんだから、勢いで持ち帰りタイプの甘酒も買ってしまった。
お持ち帰りタイプはコップ6杯分くらい作れる量なので「さすがにそんなに飲まないかもしれない」とちょっと思ったが、家で作ってもやはり美味しくて、あっちゅうまに完飲。
美味しそうな甘酒を買い漁った
天乃屋で甘酒に開眼し、他にも美味しい甘酒を試してみたくなった私は、さっそく通販情報を漁った。
すると、出るわ出るわ多種多様な甘酒たちが。おとぎ話に出てくる「真に求める者にしか見えない幻の城」のごとく、甘酒ワールドは割りとすぐ近くに広がっていたのだ。
これ幸い、と気になった商品をどんどんピックアップし、集まったものがこちら。
パッと見ただけでもバラエティ豊かさを感じるビジュアル。ひとつずつ飲んだ感想をご紹介しよう。
速やかに体に吸収される「シルキー糀甘酒」
まずは石川県金沢市の酒蔵・福光屋が販売している「酒蔵仕込み 純米 シルキー糀甘酒」。こちらは米と米麹だけで作った品だ。
甘酒はどろっとした飲み物のイメージが強いが、こちらは「甘さひかえめすっきりなめらか」とある通り、非常にさらさらとしている。お米由来の優しい甘さの中に、ほんのり甘酒の香りただよう、なんとも上品な味わいだ。
これがまた本当においしくて、「ひょっとして、細胞と同じ浸透圧で作られてる?」と思うほど速やかに体に吸収されていく感じ。冬でも十分美味しいが、夏の暑い時期にキンキンに冷やして飲むと多分召されると思う。リピ確。
お酒の香りふんわり「酒粕甘酒」
続いて、KIKKA(キッカ)の酒粕甘酒。KIKKAは酒粕を活用したさまざまな商品を手掛けているブランドで、こちらは酒粕と米麹で作った甘酒だ。
米麹のみで作った甘酒に比べて、色合いが濃い。パッケージもオシャレで、高級感がある。
筆者は下戸なので、酒粕由来の甘酒は感覚的に苦手意識が強め。果たしてそのお味は…。
ふんわりただよう香りは、なるほど日本酒を思わせる。濃い見た目に反して、口当たりはかなり軽い。雑味がなく、酒粕の余韻が鼻に抜ける。うっ…うまい!!!うまいなコレ!!!!
近くにいたスタッフにも飲んでもらったところ「あぁこれは美味しい」「私も買おうかなこれ」と好評だった。
酒粕を使っているが、ノンアルコールなのでお子さんでも飲める。
甘酒なのに酸っぱい!異色の「黒あまざけ」
沖縄県豊見城市の忠孝酒造が販売している「黒あまざけ」は、泡盛造りで用いられる黒麹を使って作った珍しい一品。
黒麹を使っていることもあってか、見た目も少しだけ黒味がかっている。とろりとした質感で、香りには、醤油に近い香ばしさを感じる。
飲んでみると、これが言葉で言い表せない味わいだった。まず、甘酒なのに酸味があるのだ。これは、黒麹菌が生み出すクエン酸によるものらしい。味のベースはたしかに甘酒なのに、酸味によってフルーティーな味わいがある。なんかすごく健康に良さそう。
これまで飲んできた甘酒とは一線を画す、不思議な逸品だった。
和風シェイクみたいな「にじいろ甘酒」
最後は、福岡県豊前市の浦野醤油醸造元が販売している「にじいろ甘酒」。甘酒に果実などのフレーバーをくわえて作った、その名の通りカラフルな甘酒だ。まず見た目が面白い。
今回買ったミニボトル3本セットは、1つがプレーンな甘酒で、ピンク色は「博多あまおう味」、緑は「八女抹茶味」。
まさか甘酒にフレーバータイプがあるなんて考えてもみなかったので、かなり楽しみ。ほんのりイチゴや抹茶の味がついた甘酒なのだろうと思って飲んでみたが、イチゴと抹茶の味のほうがメインで驚いた。
「博多あまおう」はしっかり甘酸っぱく、イチゴのつぶつぶ感がある。甘酒の味は飲んだ後にほのかに感じるくらい。
「八女抹茶」も、お茶の粉末のさわやかな香りをしっかり感じられる。甘酒と言うよりは、シェイクに近い感覚かもしれない。あっさりした和風シェイクだ。お子さんにもウケそうだ。
にじいろ甘酒にはほかにもいろんな種類のフレーバーがあるので、贈答用にも良いかもしれない。
ひとつとして同じ甘酒が無かった
今回いろんな甘酒を試してみて、どの甘酒にも個性があって、味わいが全然違った。そして、どれもめちゃくちゃに美味しい。「なんとなくつかみどころがなく、苦手」な気持ちが一転、「もっと、もっといろんな甘酒を飲ませてくれ!」と思うようになった。
というか、本当にまだまだたくさん種類の甘酒があるのだ。今回紹介したものだけではとうてい足りない。
幸い、甘酒ワールドは比較的高価な品でもたいだい2000円以内というリーズナブルな世界。私みたいに「甘酒嫌いじゃないけど、なんとなく手を出さないんだよな」という気持ちがある人は、だまされたと思って一発お高めの甘酒を買ってみて欲しい。
甘酒に対するイメージががらりと変わり、新しい世界が見えるはずだ。