みなさんは、街中にずらりと停められている”赤い自転車の群れ”を見たことがあるだろうか?

その正体は、「コミュニティサイクル」というもの。簡単に言うと「レンタサイクル」なのだが、その仕組みがなんともスマート。無人の専用サイクルポートからスマホ操作で借りて、街中の好きなポートで乗り捨てられる、なんとも現代的なシステムなのだ。

 

今回は、筆者も愛用中のコミュニティサイクルについてご紹介したい。

なお、コミュニティサイクルは、さいたま市や横浜市、大阪府など全国で展開されているが、この記事では、東京都内6区可能な「自転車シェアリング広域実験」を取り上げる。

 

どこで? いくらで? 「コミュニティサイクル」のいろは

このサービスの強みは、なんといってもカバーしている範囲の広さ。なんと、千代田区・中央区・港区・江東区・新宿区・文京区・大田区の7区で利用が可能なのである。厳密には各区の独立したサービスだが、「相互利用」という形で連携しているため、利用者はどの区で登録しても、すべての区の自転車を借りられ、すべての区のポートで返却できるのだ。

たとえば、秋葉原から東京ビッグサイトへ行ったり、お台場から東京ドームへ行ったり、新宿から六本木へ行ったり…と、都内の広い範囲を走り回れる。

気になる料金は「最初の30分=150円、以降は30分ごとに+100円」という簡単な体系。150円から利用できるのは、かなりお手軽といえそうだ。さらに、ヘビーユーザーにオススメなのが月額会員。月額2,000円を払えうと、1回30分以内であれば何度でも無料で利用できる。

 

超スマート! 無人で借りて無人で返却

なんといっても便利なのが、初期登録や自転車の貸出が、スマホ上の操作で完結することだろう。返却するときにいたってはスマホ操作も不要で、自転車のボタン押すだけ。

貸出・返却ともに人とのやり取り不要で、24時間利用OK。観光地によくある自転車屋さんのレンタサイクルのように、「閉店時間までに返却しなくては!」と焦る必要がないのが特徴だ。

それでは、実際に借りるときの自転車選びのコツをお伝えしよう。 

 

まず注目してほしいのが、サドルの高さ。もちろん、借りた後に調整できるが、自分の体格にあったものを選べば、その手間をかけずに済む。

 

次に注目すべきは、電池の残量。コミュニティサイクルはすべての自転車が電動アシスト付き。なので、小さなタイヤにもかかわらず、登り坂もスイスイ登れるのである。しかし、走っている途中で電池が切れてしまっては地獄…! 必ず、左ハンドルに付いているパネルを操作して、電池残量を確認しておくべし。

筆者の感覚では、30分走行すると20%~30%ほど消費する。なので、上記のように60%も残っていれば、1時間以内の利用には十分だろう。

さらによく見てほしいのが、自転車のモデル。 

 

たとえば、こちらはカゴが縦長なので、トートバッグを収納したい人にオススメ。サドルもシュッとしており、スポーティに乗りこなしたいモデルだ。

 

一方、こちらはサドルが茶色いタイプ。

 

ご覧の通りクッションが分厚いので、長距離の走行でもお尻が痛くなりにくい。

 

「これだ!」と思う自転車が見つかったら、泥除けに書かれたナンバーを、マイページにアクセスして入力。表示されたパスコードを自転車に入力すれば、開錠される。

 

利用方法がわからないときも、自転車に記載があるので安心だ。それでも不明点がある場合は、記載のフリーダイヤルに質問すれば、24時間体制で対応してくれる。

では、走行中で使えるワザをご紹介しよう。

 

操作パネル左の「アシスト切替」ボタンを押すと、電動アシストが「強」に切り替わる。これで、走り出しや登り坂がかなりラクになるはずだ。反対に、電池残量が心もとないときは、「オートエコ」モードに設定することで電池消費を節約するという手も。

 

さらに、右の「切替」ボタンを押すと、走行時のスピードが時速で表示できる。

上の画像は停止中に撮影したので、「0km/h」となっているが、走行中であれば自分が今どのくらいの速さで走っているのか、リアルタイムに確認できるのだ。

 

覚えておくと便利なコミュニティサイクル」活用テクニック

これまでご紹介したのは、コミュニティサイクル利用の「初級編」。ここからはさらに使い慣れた月額会員向けの「上級編」をお伝えしたい。

1)会員証登録

自転車を借りるときには、スマホの操作が必要であるとお話した。しかし、終電を逃した帰り道、うっかりスマホの充電が切れてしまった…なんて事態が起こるかもしれない。そんなときに備えてやっておきたいのが「会員証登録」だ。

手続きは簡単。会員ページで「会員証登録」の項目で「登録する」を選ぶと、8桁のパスコードがメールで届く。あとは、自転車の操作パネルにパスコードを入力して、SuicaやPASMOといった交通系ICカードかおサイフケータイ機能付きの携帯電話をタッチするだけ。次回以降はICカードをタッチするだけで自転車が借りられるようになるのだ。スマホのバッテリーが不安な人もこれで安心だろう。

2)トランジット(立ち寄り)

お次は、「月額会員」に限定の裏ワザ。先ほどご説明した通り、月額会員は月2,000円の定額で、1回30分以内であれば何度でもコミュニティサイクルを借りられる。つまり、60分かかる場所へ行く場合も、30分以内の場所にあるポートに一旦返却して再度借りれば、追加料金なしで利用ができるのだ。

もちろん、返却後すぐに同じ自転車を借りてもまったく問題ない。前述の「会員証登録」を済ませておけば、ポートでサドルにまたがったままICカードをタッチするだけで、連続利用が可能になる。

とはいえ、「そんなに都合よく乗り継ぎできるポートがあるの?」と思うかもしれない。ここで、筆者オススメの「トランジット」用サイクルポートをご紹介しよう。

「A5-03 参議院第二別館(永田町駅2番出口)」

東京メトロ永田町駅の2番出口に隣接し、国会議事堂のすぐ裏に位置するこのポート。周囲を警察官が巡回しており、ものものしい雰囲気だが、実は大変使い勝手のいいポートなのだ。

というのも、場所はまさしく東京のど真ん中、皇居のすぐそば。周囲は国会議事堂のほか、首相官邸や国会図書館なども並ぶエリア。永田町周辺にはほかにも「A5-02 山王パークタワー」や「A6-11 東京ガーデンテラス紀尾井町」といったポートがある。

筆者の体感では、「参議院第二別館」ポート近辺は道が広い割に交通量は少なく、路上駐車も少ないため非常に走りやすい。

また、駅の出口に隣接しているのも強みだ。東京・銀座・新橋といった「東側」と、新宿・表参道といった「西側」を結ぶ中間に位置し、接続する地下鉄の路線も多い、便利なポート。地下鉄とコミュニティサイクルの乗り換えスポットとして、覚えておくといいかもしれない。

「A1-06 靖国神社(石の大鳥居前)」

もう一つ覚えると便利な「トランジット」用ポートが、靖国神社。その名の通り、靖国神社の境内にあるポートだ。新宿周辺から秋葉原・神田などに向かう際、靖国通りを走れば途中で「トランジット」することができる。靖国通りと内堀通りが交わる「九段坂上」交差点の近くにあり、非常にわかりやすい。ぜひ覚えておこう。

3) トランスファー(乗り換え)

ポートにある自転車がすべて充電切れ。万が一そんな事態に見舞われたときに役立つのが、前述の「トランジット」の応用編。名付けて「トランスファー」だ。

やり方はいたって簡単。充電の切れた自転車を一度借り、近くのポートまで電動アシストの力を借りずに移動。そして、次のポートで電池が残っている自転車に乗り換えればいいのだ。特にコミケなどの大規模イベント開催時は、会場周辺のポートでは充電切れの自転車が目立つことがある。そんなときのためにも、覚えておきたい裏ワザだ。

実際に使ってみた、便利シーン3つ

続いて、実際に筆者が使ってみて、特に便利だと思ったシチュエーションを3つご紹介したい。

1) 終電を逃しそうな夜に、銀座→晴海へ

銀座で終電を逃しそうになった際、晴海にある友人の住むマンションまでの移動にコミュニティサイクルを活用したケースだ。

電車で移動しようにも、銀座一丁目駅から有楽町線で月島駅に行って晴海まで15分程度歩くか、銀座駅から新橋駅まで銀座線に乗り、新橋駅から汐留駅まで歩いて大江戸線に乗り換え、勝どき駅から晴海まで行かなければいけない。乗り換えの手間が多く、かなりのタイムロスになるのだ。

また、タクシーを捕まえようにも、終電間近の銀座周辺はタクシー乗り場も長蛇の列…。そんなときに活躍するのが、コミュニティサイクルだ。

銀座や有楽町から晴海までは、その道中のほとんどが晴海通り1本で済む。筆者が走った際、銀座周辺は客待ちタクシーの渋滞に巻き込まれてしまい、なかなかうまく進めなかったが、築地を越えるとスムーズに。有楽町駅に隣接した「A4-03 東京国際フォーラム」から「B4-03 桜の散歩道(晴海トリトンスクエア前)」まで、約17分で到着することができた。

 

2)イベント後に、有明→秋葉原へ

東京ビッグサイトで開催された同人誌即売会に参加後、買い逃した本を求めに秋葉原に向かったケース。

電車で行く場合は、ゆりかもめで国際展示場正門駅から新橋駅に行き、山手線で秋葉原に向かう。もしくは、りんかい線で国際展示場駅から大井町駅に行き、京浜東北線で秋葉原に向かうケースがある。ただ、どちらも遠回りであるし、ゆりかもめ・りんかい線の運賃は高い。さらに、イベント開催日のビッグサイト周辺駅は近づきたくないほど混雑している。

そこで、コミュニティサイクルの出番だ。

自転車ではレインボーブリッジが渡れないため、ルートとしては有明から豊洲に向かって有明北橋を渡り、豊洲市場の横を通って晴海通りへ。途中、新富町駅近くでトランジットをして、秋葉原のUDXのポートに到着した。

結果、「H1-18 東京ビッグサイト」から「B3-01 中央区役所」経由で「A3-28 秋葉原駅電気街口」まで計47分ほど。イベント開催時の駅の入場規制を考えれば、時間としてはなかなか良い勝負ではないだろうか。

 

3)広い新宿の街を東西に

新宿というのは広い街である。都庁や新宿中央公園などがある西新宿エリアから、歌舞伎町や新宿三丁目方面への移動手段に悩む人は多いだろう。電車に乗るほどの距離でもないが、歩くには少し距離がある。そんなときにショートカットに使えるのが、コミュニティサイクルだ。


※最も北側の新宿大ガードをくぐるルートが、自転車での移動経路イメージ

新宿周辺はコミュニティサイクルのポートが多く、たとえば新宿中央公園の中だけで5カ所のポートがある。そこから新宿大ガードの下、もしくは甲州街道を使って東側に横断すれば、歌舞伎町へ楽にアクセスできる。

筆者の経験では、「D6-05 新宿中央公園(水の広場)」からゴールデン街の隣りにある「D6-02 新宿区役所 第二分庁舎」まではわずか8分ほど。歩道の人混みやキャッチを気にすることなく、車道をスムーズに移動できたからこその時短テクニックである。

 

時短に最適! 名所に直結した便利ポート

コミュニティサイクルは、東京の有名スポットへのアクセスにも便利だ。

 

上の写真は、有楽町にある「東京国際フォーラム」のサイクルポート「A4-03 東京国際フォーラム」。敷地内にポートがあるので、コンサートやイベント時に会場まで移動するときにぴったりだ。

ほかにも、東京ビッグサイトや東京タワー、丸ビル、六本木ヒルズ、東京ドームといった施設にもポートが併設されているので、混み合う最寄り駅を避けてアクセスするといった活用ができるはず。ただし、東京ビッグサイトのポートは、コミケ期間中は利用できないので要注意。ポートがある庭園エリアが、コスプレ広場となっているため、ポートが閉鎖されてしまうのだ。

各エリアの中心部に位置するポートは、周辺を移動する際に覚えておいて損はない。たとえば、「D6-01 新宿区役所 本庁舎」ポートがあるのは、歌舞伎町のど真ん中。歌舞伎町で飲み会があるとき、新宿駅で降りてからの移動を考えると、電車でアクセスするよりも早くお店に到着できるかもしれない。

また、東京駅周辺に用がある際は「A4-01 丸ビル」ポートが便利だ。丸の内で食事をした後に銀座で買い物…なんてときにも活用できそうだ。

さまざまなポートやルートをご紹介したが、活用できそうなものはあっただろうか? エリア内でお気に入りのポートを探してみるのもおもしろいかもしれない。

まずは、ちょっと体を動かしたいときや終電を逃したときに、コミュニティサイクルを一度試してみていただきたい。

※記事中の情報は、2017年9月19日現在のもの

(おしまい)

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もひもひ

自称・コミュニティサイクル評論家。ブログ『さかさまダイアリー』を運営しているがコミュニティサイクルに関する記事はない。