懐かしき昭和の象徴「エロ本自販機」都内に残るのは5ヶ所のみ…訪問してきた人に感想を聞いた

もうすぐ灯火は消えゆくかもしれません
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街角や店先にたたずむ、いわゆる「エロ本自販機」。子どもの頃に見かけた記憶がある人もいるだろう。X(Twitter)では、この自販機が設置されている場所を訪問してきた「報告」の投稿が話題になっている。

大銀醸SSさんが訪れてきた自販機の設置場所。練馬、葛飾、八王子、瑞穂に所在する

現地訪問を達成したのはXユーザーの大銀醸SSS(@daiginjo)さん。この「報告」に対してXユーザーからは「まさか都内に残っているとは」「まだ現存しているのがすごい」「ノスタルジーだね」と関心が集まっている。

さらに「小中学生の頃に自販機で雑誌を買った」という反応もあったようだが、現在は未成年が購入できないよう、自販機に年齢確認装置が設置されているという。

こうした自動販売機の設置については管理者の住所・氏名、設置場所等を東京都に申請し、許可を得る必要がある。そのため設置台数の把握は簡単だ。また、場所はXの投稿など、過去の資料を元に特定は十分可能だ。

自販機の設置台数は東京都青少年健全育成審議会の会議資料によると、令和6年2月1日現在で6ヶ所、25台設置とある。しかし大銀醸SSSさんが訪問している間にさらに1ヶ所減り、5ヶ所・22台まで減ったようだ。

今や懐かしい昭和の一象徴とも言える成人向け雑誌自販機は、今後もさらに減っていくと見込まれる。なぜ今訪問してきたのか、動機や現地の状況などを大銀醸SSSさんに伺った。

雑誌ではなくDVDが中心(大銀醸SSSさんご提供・編集部にて画像を加工しています)
アダルトグッズが売られている自販機(大銀醸SSSさんご提供)

新紙幣が発行されれば消えていくかもしれない

自販機の探索を思いたった経緯を教えて下さい。

まず最初に、東京都の不健全図書制度への関心がありました。 毎月開催されている「青少年健全育成審議会」を傍聴すると冒頭に自販機の台数の報告があり、自治体がエロ本自販機を規制していること、届出制度があることを知りました。

年々減っていく自販機の台数を眺めるうちに「今しかない」「この数なら制覇できる」と考え、2024年2月からまわり始めた次第です。

実際に行ってみると、雑誌は売られていない自販機もあったそうですが。

個人的にはすごいエロ本が売られているのを期待していたのですが、実際に販売されているのはDVDとDVD付き雑誌がほとんどでした。 DVDの他には、成人向けのグッズ類もありましたね。

自販機で使えるのが紙幣のみとなっていて、千円単位で価格設定しないといけないという事情もあるかと思います。 釣銭の補充・回収や自販機のメンテナンスが、もう細やかにはできないのでしょう。 届け出の必要がない、精力剤などの自販機が一緒に置かれているケース(エロ本自販機25台に対して7台)もありました。

訪問してきて気づいたことやご感想をお願いします。

これだけ自販機の設置台数が少なくなると、運営する業者も一社だけになった可能性を考えていましたが、実際は所有者も管理者もバラバラ。店の作りも年齢識別装置も統一されてはおらず、それぞれの設置場所は昔からの各グループの生き残り、歴戦の勇士といった風情を感じました。

しかし2024年7月には紙幣が刷新されます。これらの自販機の多くは新千円札に対応できず、消えていくのではないでしょうか。 

 2003年10月に都内で1116台を超えていたのが、2024年4月には22台。 2004年の都条例改正で罰則付きの規制が始まり、20年間で一つの産業が滅びたことにもなります。

一時期は子どもも買えてしまう構造だったエロ本自販機。そんな時代があったことに驚くと同時に、ノスタルジーを感じずにはいられない人もいるのではないだろうか。

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