グラフィックデザインのような卵のアート写真が面白い!細部に散りばめられたアイデアの数々を聞いた
等間隔に並んでいる卵の画像がTwitterに投稿され、反響を呼んでいる。一見グラフィックデザインかのようにも見えるが、実は本物の卵を3時間かけて、手作業で均等に並べて撮影したものなのだ。
こう言う写真を見せるとだいたいPhotoshopすごいね!って言われるんです。
Photoshopは凄いよ。けど3時間かけてゆで卵を並べた僕も褒めて…。
ついでに言うとこの写真にフォトショはあまり使ってません笑
続く>> https://t.co/J1LQsXj6a9
— 森田 直樹 / 美術写真家 - 彫刻, 絵画作品, 工芸品, 美術品のスタジオ撮影 (@Naoki_M_Photo) 2023年6月11日
ほらね。 https://t.co/3bRAnCeGNp
— 森田 直樹 / 美術写真家 - 彫刻, 絵画作品, 工芸品, 美術品のスタジオ撮影 (@Naoki_M_Photo) 2023年6月11日
写真を投稿したのは、美術作品の撮影を専門としている写真家の森田直樹(@Naoki_M_Photo)さん。配置や接触、影の形まで細かく調整することで、形や配置、影の長さや方向まで同じに見えるように工夫されているのだ。
皆さん影に注目してくださって嬉しいのでひとつタネあかしを🤭
立っている卵の影、よ~~~~く見ると先の方は輪郭が滲むんです。半切りの卵だけは寝ているので影がシャープになっています。
現実でもそうなるので試してみてください✨
— 森田 直樹 / 美術写真家 - 彫刻, 絵画作品, 工芸品, 美術品のスタジオ撮影 (@Naoki_M_Photo) 2023年6月12日
追加情報でございます🥸
この卵たち、実は真っ直ぐ立ってません。
横から見ると全~~部ナナメになっています。
(写真撮っておけばよかった…!)
ナナメにした理由はカメラから見て卵の形が見えるようにするためと、影の角度を切った卵と合わせるためです。
影が揃っている秘密はここにありました🤭
— 森田 直樹 / 美術写真家 - 彫刻, 絵画作品, 工芸品, 美術品のスタジオ撮影 (@Naoki_M_Photo) 2023年6月13日
Twitterユーザーからは「合成かと思うくらいきれい」「これすごすぎます…光の具合に感動です!!」「見えない部分の難しさを想像する面白さが伝わり、とても気に入りました!」など多くの反響があった。
森田さんによると「ゆで卵の写真」は研究のための習作の一つとのこと。ほかにも、同じように等間隔でプレッツェルを並べた作品などさまざまな写真作品を残している。
別のやつも置いておきますね☺️ https://t.co/1QsoPvBNcQ
— 森田 直樹 / 美術写真家 - 彫刻, 絵画作品, 工芸品, 美術品のスタジオ撮影 (@Naoki_M_Photo) 2023年6月11日
今回、作品作りにあたってゆで卵を用いた理由や製作秘話などを、森田さんに詳しく伺った。
ゆで卵を並べる3時間より30分の片付けの方がつらい
今回の写真を撮ったきっかけは?
被写体について、特にこだわりはありませんでした。何かを並べてパターン構図のような写真を作ろうと決めて、スーパーで撮るものを探していたときに見つけたのが卵とプレッツェルでした。
アーティストのマグリットやエッシャー※の作品に、影響を受けてきたという森田さん。今回の作品でも、何かしらインスピレーションを受けたのだろうか?
※ルネ・マグリット…ベルギー出身のシュルレアリスムの画家、エッシャー…だまし絵で知られるオランダの画家
@aNTzorH2IGPVx3t 仰る通り、マグリットやエッシャーの影響はかなり受けてます☺️
— 森田 直樹 / 美術写真家 - 彫刻, 絵画作品, 工芸品, 美術品のスタジオ撮影 (@Naoki_M_Photo) 2023年6月13日
マグリットやエッシャーの影響は反映されていますか?
特別意識したわけではありませんが、ずっと美術に関わっているので、画作りの部分で好みは出ているかもしれません。
ゆで卵を並べる作業で一番苦労された点は?
写真を撮っているときは苦労という感覚がそもそもないですね。一番つらいのは撮影が終わった後の片付けと眠気です(笑)。
作業に全集中した後は、電池が切れたみたいに一気に体が重くなるので無理やり体を動かさないと動いてくれません。ゆで卵を並べる3時間より、30分の片付けの方がずっとつらいです。また、あまり共感してもらえないことが多いんですが、何かを夢中で作っている最中に障害に出くわすと、とても楽しくてワクワクしてきます。
ただそんな風に思う自分の方がどうやら変わっているようだと気付いてから、最近は建前上「頑張ってます」って言うことにしています。
写真を研究する目的をお聞かせいただけますか?
目的は何かと聞かれると難しいですが、自分の性格上、作業に使う道具が思い通りに扱えないと嫌なんです。カメラ、レンズ、ライト、それからその他周辺機材まで、とにかく手足のように使えるのが理想です。
自分にとってのカメラや写真は画家でいうところの画材みたいなもので、それを使いこなせないことで気持ち悪い思いをしたくない、というのが目的でしょうか。
マスキングテープよ、
バウムクーヘンになーぁれ https://t.co/ZL7nSx5uo2 https://t.co/JwvyrAqVf0
— 森田 直樹 / 美術写真家 - 彫刻, 絵画作品, 工芸品, 美術品のスタジオ撮影 (@Naoki_M_Photo) 2023年6月11日
また、アート撮影に特化したフォトスタジオStudio Jugaad(スタジオジュガール)を経営する森田さん。ただきれいに撮るだけではなく、作品や作家のコンセプトを追求した写真表現を心がけているのだそう。
皆様にスタジオジュガールをに広く知っていただくために、決めました。
初めてご利用の美術関係の方全員、最初の1カットを無料で撮影致します。
平面、立体、大きさを問いません。
まずは撮影した写真を見てもらうためです。
その後の料金はプロフィール欄に記載のスタジオHPをご確認下さい。1/4 https://t.co/rmbxptv5VI
— 森田 直樹 / 美術写真家 - 彫刻, 絵画作品, 工芸品, 美術品のスタジオ撮影 (@Naoki_M_Photo) 2023年6月18日
森田さんは日頃から自身やアーティストの作品などを撮影したものをTwitterに投稿している。
多くのアーティストから作品の撮影依頼を受ける森田さんの写真には、アーティストが作品で表現したい概念やこだわりを大事にする想いが写し出されているのかもしれない。