葛飾北斎の「河童」を再現した人形が話題!100体の妖怪人形を作った人形作家がすごすぎる

とても美しい魑魅魍魎
7

江戸時代の浮世絵師・葛飾北斎が『北斎漫画』に描いた浮世絵「河童」を立体化した人形の画像が、Twitterで注目を集めている。

葛飾北斎が描いた「河童」(左)を人形で再現(右)

画像を投稿したのは、イギリスで3Dモデラ―や人形作家として活動するAcotama(@aco_decodoll)さんだ。投稿主は「百鬼夜行プロジェクト」と称して、浮世絵などに描かれた妖怪たちをモチーフに100体の人形を作る独自企画を立ち上げた。葛飾北斎の「河童」はその記念すべき100体目であり、プロジェクト完結には1年半を費やしたという。

哀愁が漂う表情で体育座りのようなポーズをとる「河童」の人形からは、どことなく愛嬌が感じられる。紫の髪の毛のみ羊毛を使うなど、パーツによって素材を使い分けるのがこだわりのひとつとのこと。

このハイクオリティな妖怪人形に、Twitterユーザーは大絶賛の嵐。「原画よりかわいくなってる」「アンニュイな雰囲気が素敵」など人形に魅了されたという声や「百鬼夜行お疲れ様でした」と投稿主の努力を称えるコメントなどが寄せられた。

葛飾北斎の「百物語 お岩さん」(左)を再現したお岩さん人形(右)

「百鬼夜行プロジェクト」には大きな目玉の大入道も

Acotamaさんの「百鬼夜行プロジェクト」の他の99体には、お岩さんや大入道など、一度は聞いたことがあるような妖怪も数多い。「生気を感じられるように」という投稿主のこだわりが反映された妖怪たちは、どれも実物をじっくり眺めてみたい人形ばかりだ。

今回はAcotamaさんから、「百鬼夜行プロジェクト」について話を聞いてみた。

妖怪の個性を活かした人形作り

「百鬼夜行プロジェクト」を始めたきっかけを教えてください。

私の本業は3DCGIのモデラーで、たまに趣味で人形制作をしていました。一応、過去に仕事としても請け負ったことはあります。

数年前から日本画が好きでいろいろ見ているうちに浮世絵に魅せられたのもありますが、妖怪に興味を持った1番のきっかけは、イラストレーターをやっている主人に「日本の昔話や妖怪のキャラクターは面白いからつくってみたら」と提案されたことです。

ちょうどコロナ禍で仕事が滞っていたこともあり、妖怪を人形にする「百鬼夜行プロジェクト」を本格的にやることにしました。

人形にする妖怪はどのような基準で選ばれたのでしょうか?

妖怪のチョイスは原画を見た時のフィーリングで決めました。

「北斎の河童」を最後の100体目に選んだ理由はなんでしょうか?

プロジェクトの初期に作りたい妖怪の原画を検索した際、ディティールとシンプルさを両立した北斎の「河童」に魅せられました。いずれ私の制作技術が上がった段階、つまり素材の扱いに慣れた最後の100体目に作ろうと決めました。

穏やかに、しめやかに「百鬼夜行プロジェクト」の最後を締める意味でも、北斎の「河童」は私の意図に合っているような気がします。

100体のなかで特にお気に入りの妖怪はありますか?

よく聞かれるのですが、それぞれの妖怪に浮世絵師や妖怪自身の個性が詰まっていて、すべてに私なりの思い入れがあります。正直、順位づけはできません。

プロジェクトの後半になるにつれ制作技術が上がっているので、出来、不出来のランクづけならできます。それでもお気に入りを選ぶのは難しく…全部好きです!

精巧さとかわいさを両立した妖怪人形100体を作りあげ、見事「百鬼夜行プロジェクト」を完走したAcotamaさん。

近世では浮世絵として、そして現代では人形として。妖怪とは時代によって姿かたちを変えながら、私たちの前に姿を現す存在なのかもしれない。

記事中の画像付きツイートは許諾を得て使用しています。