高校生が作った「オリジナル模造刀」が熟練職人による工芸品みたいな美しさ 制作秘話を聞いた

完全オリジナル
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高校生の息子が作った「オリジナル模造刀」が美術作品展で賞を受賞し、審査員にそのクオリティの高さを驚かれた。Twitter(X)ユーザーのお母さんが投稿したエピソードに注目が集まっている。

すべて手作りでここまでの完成度!

投稿者のKAIE(@KAIE2357111317)さんの息子さんが作った模造刀は、本物の日本刀と同じく刀身、柄、鞘が一そろいで刀掛けに飾られている。しっかり編み込んだ「柄巻き」や、「下緒」など細部も再現され、骨董品のような風格も感じられる見事な仕上がりだ。

この模造刀、既製品の部品を組み込まず、息子さんがすべて一から手作りしたものであるというからさらに驚きだ。

制作過程を見ても、パーツによって異なる木材を採用したり模様や結び目も手作業であしらったりと、本作に対する息子さんのこだわりが伝わってくる。

扱いづらいが美しい仕上がりになる木材を使い、刀の曲線を描く

ヒノキを丁寧に調整し削りながら作る鞘(さや)

柄の部分は紐をバランスよく編みこんでいく

こちらの作品は、美術作品展の受賞作1100作品の中で、4番目の賞だったとのこと。美術展の審査員から「この作品は既製品を使っているのか」と学校に問い合わせがあったというエピソードからも、その精巧さがうかがえる。

X(Twitter)ユーザーからは「審査員さんから既製品と疑われるなんて…漫画の主人公みたいな展開ですね」「これが4番目の賞とかハイレベル過ぎる」「将来は人間国宝でしょうか」など、感嘆の声が多く寄せられた。

息子さんは、もともと伝統工芸に関心があった様子。KAIEさんに、今回の受賞や制作歴について詳しく話を聞いてみた。

試行錯誤して作った息子の努力が実り嬉しい

息子さんの受賞の知らせを聞いた時のお気持ちは?

「え? 受賞? 本当に?」とびっくりしながらも、今まで試行錯誤を繰り返し作ってきた息子の努力が実ったのかと思い、とても嬉しかったです。

審査員の方から確認の連絡があったということは、一から手作りしたことをきちんと評価してもらえているということだと思うので、ありがたかったです。


息子さんが模造刀作りを始めたのはいつ頃ですか?

2018年ごろです。息子から「模造刀が欲しい」と言われたので「無理だ」と伝えたら「じゃあ自分で作る」となりました。

息子さんは伝統工芸に興味があるようですが、好きになったきっかけは?

幼い頃からお祭りのふとん太鼓やその彫り物などが大好きでした。房(ふさ)が好きで自分で作っているのもその一環です。

日本刀だけでなく古墳など遺跡関係のもの含め歴史的なもの全般が好きですし、自分で埴輪を発見することもありました。

幼少期から創作が好きなお子さんでしたか?

幼稚園のとき園長先生に「この子は何かを作る仕事に就くべきだ」と言われるぐらいに、よく何かを作っていました。

件の模造刀は、息子さんのこれまでの経験や興味関心が見事に結実した結果生まれたことがよくわかるエピソードだ。

モデルはなく、完全オリジナルな模造刀

今回なんと、KAIEさんを通じて息子さんご本人にも詳しく話を伺うことができた。

受賞した模造刀の参考にした刀はありますか?

モデルはなくオリジナルですが、時代は日本刀の出始めごろの太刀(たち)を参考にしています。 

受賞作品で特にこだわったポイントや苦心した点は?

こだわりは鞘(さや)のデザインです。下塗りの上に漆を塗り、それを削りながら鞘全体に縞模様をバランス良く出せるようこだわっています。刀身(とうしん)に使った紫檀(したん)の木がものすごく硬くて、加工の際に手の皮があちこち擦れて大変でした。

お母様の投稿に反響があったと知ったときの感想は?

母が受賞の事をSNSに載せてることを知らなかったので、聞いたときは「何やってんの!?」と思いました。

既製品を組み込まず、一からオリジナルで丁寧に作り上げた模造刀。好きなことを探求し、生み出されたその作品には息子さんの才能がいたるところに感じられる。

KAIEさんは、息子さんの作品を紹介する専用のアカウント(
@hLyP4QcnuVacqdX)も開設している。息子さんの作品についてもっと知りたくなった人は、ぜひのぞいてみては。

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